イーサリアムが取引仕様を刷新するアップグレード案を策定へ。最大64件の処理統合やガス代肩代わりを導入する方針

イーサリアムにおいて、トランザクションの実行や手数料の仕組みを大幅に改定する新たなアップグレード提案が示されています。この提案では、分散型アプリケーションによる手数料の肩代わりや、最大64件のアクションを1つのトランザクションに集約する機能が含まれています。さらに、従来の暗号資産ウォレット管理で用いられてきたシードフレーズ(秘密鍵を復元するための単語列)に依存しない利用環境への道筋が開かれます。これらは、利用者の利便性向上や参入障壁の低減につながる動きとして注目されます。

監修:ブロックチェーン総研編集部

株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイト編集方針をご覧ください。

取引の集約とアプリケーションによる手数料の肩代わり

現在のイーサリアムでは、資産の送金やトークンの承認といった操作ごとに個別のトランザクションを発行する必要があります。今回のアップグレード提案では、最大64件のアクションを1つのトランザクションにまとめて処理できるようになります。これにより、トークンの利用承認と交換を1度の操作で完了できるようになるなど、複数段階の手順を要していた操作の効率化が見込まれます。

また、分散型アプリケーションがユーザーに代わってガス代(ネットワーク利用手数料)を支払う仕組みが用意されます。この機能が実用化されれば、新規ユーザーは暗号資産イーサリアム(ETH)を事前に購入・保有していなくてもアプリケーションの利用を開始できるようになり、サービス提供側が利用者獲得の施策として手数料を負担する設計が可能になると見られます。

シードフレーズに依存しないウォレット管理への道筋

アップグレード提案には、暗号資産管理におけるシードフレーズへの過度な依存を見直す設計も含まれています。従来のウォレット運用では、バックアップ用のシードフレーズを紛失した場合に資産へアクセスできなくなる課題が存在していました。

今回の提案では、アカウントと元の鍵の構造を切り離すことで、別の端末や信頼できる連絡先を経由したアクセス復旧、ならびに鍵の更新を可能にする道が開かれるとされています。これにより、ユーザーがシードフレーズを物理的に保管し続ける負担を軽減できる可能性があります。なお、関連する提案は「EIP-8141」として議論が進められており、今後のネットワークアップグレードに向けて技術的な検討が進められているとされています。

ポイント

  • アプリケーション側がユーザーのガス代を肩代わりできる仕組みが導入される点
  • 最大64件のアクションを1つのトランザクションにまとめて実行可能になる点
  • シードフレーズの厳密な物理管理に依存しないアカウント管理への道筋が示された点
  • 取引手順の削減と手数料負担の柔軟化により、利用者のオンボーディング改善に寄与する可能性がある点で注目されます
ブロックチェーン総研プライムBlockchain Research Institute Prime
数字とニュースでブロックチェーン産業を読む。新着レポートの公開をメールでお知らせします。
確認メールのリンクをクリックすると登録完了。配信はいつでも解除できます。プライバシーポリシー