レイヤー1ブロックチェーンプロジェクトのハーモニー(Harmony)は、ネイティブトークンであるONEをイーサリアムへ移行し、既存のレイヤー1ネットワークを完全に終了させる非拘束的な提案を発表しました。プロジェクト側は国家主体やAIエージェントによる甚大な脅威を背景に挙げており、過去に発生した大規模な不正流出や不正発行への対応として決断したとしています。トークン移行後は従来のバリデータをガバナーへ移行させ、二次創作を可能にするAI動画経済圏を新たに立ち上げる構想を明らかにしました。
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相次ぐ攻撃被害を受けたL1終了とイーサリアムへの移行要件
ハーモニーは、独自のレイヤー1ネットワークを終了させる理由として、外部からのセキュリティ上の脅威があまりにも甚大であることを挙げています。同プロジェクトでは8月にコンセンサスの署名数検証ロジックにおけるバグを突かれ、総供給量の26%に相当する約40億ONEが不正に発行され、そのうち約28億ONEが取引所へ送金される事態が発生していました。さらに遡る2022年6月にも、クロスチェーンブリッジであるHorizon Bridgeへの攻撃により約1億ドル相当の暗号資産が流出し、米連邦捜査局(FBI)により北朝鮮系ハッカー集団ラザルスグループの犯行と認定された経緯があります。
今回の移行計画では、最終ブロックの時点でスナップショットが取得され、ユーザーウォレットやステーキング委任分、バリデータ報酬、スマートコントラクト、中央集権型取引所で保管されているONEトークンが対象となります。一般のトークン保有者や委任者、バリデータによる請求手続きは不要で、イーサリアム上のアドレスに新しいトークンが配布される予定です。
ただし、マルチシグウォレットや分散型取引所の流動性プール、オンチェーンアプリケーション内で保有されているONEは自動移行の対象外となります。そのためハーモニーは、該当する利用者に対して2026年9月10日までにスマートコントラクトから資産を引き出すよう注意を促しています。
バリデータのガバナー移行とAI動画リミックス事業への転換
ネットワークの終了に伴い、バリデータは2026年9月10日午前7時(太平洋時間)以降、ノード運用を停止することが可能となります。早期に停止したノードに対しても、ネットワーク全体の最終ブロックまでに発生する見込みだった報酬差額が補償される方針です。移行後はバリデータという役割がなくなり、ノード運用を行わないガバナーへと移行します。ガバナーはトークン委任者への情報発信や新規事業へのフィードバックを担い、ガバナーおよびデリゲーターに対しては総額137万2,000ドルの一時的な補償プログラムが四半期ごとに提供される見通しです。
ハーモニーは事業の転換先として、クリエイターが公開した動画やプロンプトをもとに二次創作を行えるAI動画のリミックス・エコノミー構想を提示しました。AIエージェントによるストーリー分岐などを組み込んだプラットフォームを想定しており、広告事業だけでも100万人のユーザーから数千万ドルの収益を見込めると主張しています。希望するガバナーはオペレーターとしてこの事業に参加でき、稼働要件を満たした場合は初年度のGPUハードウェア費用が補助され、全体で最大100万ドルの収益支援が行われる計画です。なお、これらの移行計画や新事業構想は情報提供を目的とした非拘束のものであり、今後内容が修正される可能性があるとされています。
ポイント
- 度重なるセキュリティ侵害や不正発行への対策として、独自のレイヤー1運用を取りやめてイーサリアムのエコシステムへ全面移行する判断を下した点で注目されます。
- マルチシグや流動性プール内に預けられているトークンは自動移行の対象外となるため、2026年9月10日までに手動での引き出し対応が必須となる点で利用者にとって重要です。
- バリデータをノード運用者から情報発信やフィードバックを行うガバナーへと転換し、総額137万2,000ドルの補償を設けてコミュニティ維持を図る設計である点で注目されます。
- インフラ提供から二次創作型のAI動画プラットフォームへと事業方針を転換し、GPU費用補助を通じて関係者の参加を促す構想を示した点で注目されます。