ブルガリアが暗号資産利用者情報の税務報告義務化法を公布。2026年取引分から年間集計を報告させる方針

ブルガリアにおいて、暗号資産サービス提供者に対し利用者情報の税務報告を義務付ける改正法が公布されました。この法律は税務分野の行政協力に関するEU指令「DAC8」などを国内法化するもので、EU加盟国間での利用者情報の自動交換に対応します。暗号資産サービス提供者は2026年分の取引から年間の集計値などを税務当局へ報告することが求められます。域内での税務コンプライアンスの強化に向け、事業者の報告体制整備や利用者への確認手続きが進むと見られます。

監修:ブロックチェーン総研編集部

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EU指令「DAC8」への対応と法改正の背景

ブルガリアで暗号資産サービス提供者に利用者情報の税務報告を義務付ける「租税・社会保障手続法典(Tax and Social Security Procedure Code)」の改正法が、9月15日付のブルガリア官報第85号で公布されました。同国の国民議会は9月9日に法案を賛成149、反対0、棄権10で最終可決していました。この法案は閣僚評議会が5月7日に提出したもので、税務行政協力に関するEU指令「DAC8」および「DAC9」の要件を国内法に反映させる内容となっています。

このうち暗号資産に関する情報報告と交換は、主にDAC8に対応するものです。DAC8はEU加盟国間における暗号資産利用者情報の自動交換を定めています。欧州委員会によると、規制対象には分散型で発行された暗号資産に加え、ステーブルコイン、電子マネートークン、一部のNFT(非代替性トークン)が含まれます。EU加盟国には2025年12月31日までの国内法化と、2026年1月1日からの適用が求められていました。

報告対象となる情報と利用者の確認要件

改正法に基づき、ブルガリアの税務当局である国家歳入庁(National Revenue Agency:NRA)は、利用者の税務上の居住地に応じて他のEU加盟国や協定相手国・地域の税務当局と対象者の情報を交換します。

報告義務の対象となる暗号資産サービス提供者は、報告対象となる利用者および実質的支配者の情報をNRAへ提出します。提出する項目は、氏名や法人名、住所、税務上の居住地、納税者番号(TIN)です。個人の場合は生年月日が含まれ、別の法的根拠によって収集・提供義務がある場合は出生地なども対象となります。

取引情報については、法定通貨による購入や売却、暗号資産同士の交換、商品・サービスの購入、暗号資産の移転に関して、暗号資産の種類ごとに年間の総額、総数量、取引件数などを提出する必要があります。これらは個々の全取引明細ではなく、暗号資産の種類と取引区分ごとの年間集計値として電子的に報告されます。

また、利用者が所定の情報を提出しない場合の取引制限も規定されています。事業者は少なくとも2回の書面による催告を行い、最初の要請から60日が経過した後はその利用者による取引を認めることができません。2025年12月31日時点の既存利用者に対する確認手続きは、2027年1月1日までに実施することとされています。

適用スケジュールと情報交換の流れ

最初の報告対象期間は2026年1月1日に開始されます。報告は対象年の翌年6月30日までに行う規定となっており、暗号資産サービス提供者による最初の報告期限は2027年6月30日です。

NRAは対象年の終了から9カ月以内に関係国の税務当局と情報を交換するため、EU加盟国間における初回の情報交換期限は2027年9月30日となります。

ポイント

  • ブルガリアでEU指令「DAC8」を国内法化する改正法が公布され、暗号資産サービス提供者に対する利用者情報の税務報告が義務化された点で注目されます。
  • 対象資産には一般的な暗号資産だけでなく、ステーブルコインや電子マネートークン、一部のNFTが含まれており、幅広いデジタル資産が網羅されている点で重要です。
  • 取引情報は全明細ではなく暗号資産の種類および取引区分ごとの年間集計値として報告する形式が採用されています。
  • 最初の対象期間は2026年1月1日からとなり、事業者による税務当局への初回収集・報告期限は2027年6月30日、EU加盟国間の初回情報交換期限は2027年9月30日に設定されています。
  • 利用者が情報提出に応じない場合は最初の要請から60日経過後に取引停止措置が課されるため、事業者の顧客管理実務に影響を与える規定として注目されます。
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