ブロックチェーンエコシステム「コスモス(Cosmos)」の開発を主導するコスモスラボ(Cosmos Labs)は、銀行のコア勘定系システムと国際銀行間通信協会スウィフト(Swift)のブロックチェーン共有台帳などを接続する支援を開始しました。この取り組みでは金融機関向け基盤「コスモス・トークナイゼーション・スイート(Cosmos Tokenization Suite)」が活用され、トークン化預金を通じた24時間365日の国際決済の実現を目指しています。既存の勘定系や決済の枠組みを維持しながらブロックチェーン環境との相互運用性を確保するアプローチであり、伝統的金融機関による分散型台帳技術の導入を後押しする動きとして注目されます。
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コア勘定系システムと多様な台帳をつなぐ仕組み
コスモスラボが提供するコスモス・トークナイゼーション・スイートは、銀行が独自のトークン化預金台帳を構築し、既存のコア勘定系システムと同期できるようにする基盤です。連携対象となる既存システムには、ファイサーブ(Fiserv)、エフアイエス(FIS)、ジャックヘンリー(Jack Henry)、テメノス(Temenos)、ホーガン(Hogan)などが挙げられています。
同基盤は、銀行の台帳をEVM(イーサリアム仮想マシン)やハイパーレジャー・ベス(Hyperledger Besu)を利用する環境に接続することが可能です。接続先としてはスウィフトの共有台帳に加え、カントン(Canton)、パーティオール(Partior)、さらにはパブリックチェーンであるイーサリアム(Ethereum)やソラナ(Solana)が明記されています。
スウィフトの共有台帳を利用する枠組みでは、トークン化預金そのものは発行元の銀行台帳に残されます。スウィフトの共有台帳は参加金融機関の間の資金移動の調整を担い、夜間や週末を含めた処理に対応します。その後の最終決済には、即時グロス決済(RTGS)などの既存の決済システムが利用される設計となっています。
パイロット支援と金融機関向け連携ネットワークの拡充
コスモスラボは、スウィフトのパイロットに参加する銀行に対して、コア勘定系システムとデジタル台帳の統合や、異なるネットワーク間および取引相手間の相互運用性の確保を支援します。今後はコルレス銀行(中継銀行業務を行う銀行)との連携支援も予定しており、参加できる金融機関の裾野を広げる方針です。
これに先立ち、同社は9月9日に「コスモス・パートナー・ネットワーク(Cosmos Partner Network)」の立ち上げを発表していました。同ネットワークには初期パートナーとして17社が参加しており、本人確認(KYC)や企業確認(KYB)、カストディ(資産保管)、規制対応のモニタリング機能などを提供する体制が整えられています。
スウィフト共有台帳を巡る大手IT企業の接続基盤競争
スウィフトは7月9日にブロックチェーン共有台帳が初期利用可能な段階に達したと発表しており、その設計には40超の金融機関が関与しました。7月時点で6大陸の17行がトークン化預金を用いた実取引パイロットの準備を進めていた経緯があります。
金融機関とスウィフト共有台帳を接続するソリューションを巡っては、テクノロジー大手の参入も相次いでいます。米IT大手のオラクル(Oracle)は9月28日に銀行独自のトークン化預金基盤とスウィフト共有台帳を接続する取り組みを発表したほか、米IBMも9月24日にデジタル資産管理基盤「IBMデジタル・アセット・ヘイブン(IBM Digital Asset Haven)」を通じた接続機能のベータ提供を開始しています。金融機関のブロックチェーン導入に向けて、インフラ接続基盤を提供するプレイヤー間の動きが本格化していると見られます。
ポイント
- コスモスラボが金融機関向け基盤を活用し、銀行のコア勘定系システムとスウィフト共有台帳などの外部ネットワークを接続する支援を開始した点
- 既存のRTGSなどによる最終決済と発行銀行での預金管理を前提に、24時間365日の国際資金移動を調整する運用モデルを採用している点
- スウィフトの共有台帳だけでなく、カントンやパーティオール、イーサリアムやソラナなど複数の台帳環境への相互運用性を確保している点
- スウィフトの共有台帳接続を巡り、コスモスラボに加えてオラクルやIBMなどの大手IT企業も対応ソリューションを展開し始めている点