香港上海銀行(HSBC香港)は、香港ドル建てステーブルコインの名称を「HSBC RedCoin」に決定し、2026年後半に提供を開始すると発表しました。同行が取得した香港金融管理局(HKMA)のライセンスに基づくもので、まずは同行の決済アプリ「PayMe」および香港向けモバイルバンキングアプリを通じて個人向け決済から開始されます。香港における規制整備が進むなか、大手銀行によるステーブルコインの商用化事例として、決済インフラの実用化に向けた重要な進展と見られます。
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PayMeを活用したリテール決済からの段階的な展開
HSBC RedCoinは、提供開始の初期段階において個人間送金(P2P)および加盟店での支払い(P2M)を対象とします。その後、段階的に法人や機関投資家向けのホールセール用途へと提供範囲を拡大していく計画です。
提供開始時点の取り扱いは、同行の香港向けモバイルバンキングアプリと決済アプリ「PayMe」のみに限定されます。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、PayMeの利用者は約330万人にのぼるため、既存の大規模な顧客基盤を活用した普及が進められる見通しです。
HSBC香港のマギー・ン最高経営責任者(CEO)は、今回の発表について、コインのローンチは始まりにすぎず、同行の安全性や信頼、シンプルさを基盤として香港の金融イノベーションを支えることが目標であると説明しています。
制度化の進展と利用者の理解度向上に向けた取り組み
今回の発行計画の背景には、香港におけるステーブルコインの法規制整備があります。香港では2025年8月にステーブルコイン条例が施行され、法定通貨建てステーブルコインの発行にはHKMAの免許取得が義務付けられました。HSBCは2026年4月に、スタンダードチャータード銀行系の合弁会社とともに第1陣の発行ライセンスを取得しています。
同行が6月に顧客1,060人を対象に実施した調査では、74%がステーブルコインの用途を少なくとも1つ認識していると回答しました。認知されている主な用途としては、デジタル資産取引やトークン化投資(57%)、個人間送金(53%)、国際送金および店舗決済(それぞれ52%)が挙げられています。
一方で、ステーブルコインへの信頼を高める要素として、回答者の62%が規制の明確化を、55%が教育の充実を挙げました。これを受けてHSBCは、アプリやウェブサイト、SNSを通じて詐欺対策や法定通貨への償還(払い戻し)の仕組みを解説する教育コンテンツを提供する予定です。なお、同行は現時点でステーブルコインを発行しておらず、同行を名乗る偽のステーブルコインに対する注意喚起も行っています。
ポイント
- HSBC香港が香港ドル建てステーブルコイン「HSBC RedCoin」の名称を発表し、2026年後半に提供を開始する計画です。
- 約330万人の利用者を抱える決済アプリ「PayMe」と同校のバンキングアプリに提供を限定し、個人間送金や店舗決済から法人向けへ段階的に拡大する方針です。
- 2025年8月のステーブルコイン条例施行後、HKMAから認可された第1陣ライセンスに基づく銀行発行の取り組みである点で注目されます。
- 顧客調査では74%が用途を認識する一方で教育や規制の明確化が求められており、詐欺対策や償還の仕組みに関する情報発信も並行して進められる方針です。