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ブロックチェーン総研by Pacific Meta

米Yコンビネーターが暗号資産の出資募集テーマを公開。ステーブルコインやRWAなどへの出資を増やす方針

米国のスタートアップ支援組織であるYコンビネーターは、暗号資産分野における出資募集資料「Crypto Request for Startups」を公開しました。同組織は今後6カ月の重点領域として、ステーブルコインや現実資産のトークン化、AI関連の資金調達などを含む事業分野を提示しています。直近1年の暗号資産の普及が投機ではなく機関主導の金融ニーズによって支えられたと分析しており、これらに対応する新興企業への出資を強化する方針です。

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監修:ブロックチェーン総研編集部

株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイトと編集方針をご覧ください。

機関主導の実需と既存金融システムへの挑戦

今回の募集資料において、Yコンビネーターのビジティングパートナーであるネミル・ダラル氏は、過去1年間における暗号資産の利用拡大について、個人消費者ではなく機関が主導した市場サイクルであったと指摘しています。

これまでの普及過程と異なり、投機的な動機よりも実際の金融ニーズが市場の成長をけん引したと分析されています。具体的な事例として、原油価格の変動リスクに対するヘッジ取引や、企業による海外送金の迅速化といった実需が挙げられました。

こうした背景から、ブロックチェーン技術が従来の証券取引所に対して、またステーブルコイン(法定通貨などと価値が連動する暗号資産)が既存の銀行システムに対して挑戦し得るとの見解が示されています。

ステーブルコインやRWAなど注力する6つの事業領域

Yコンビネーターが今後6カ月で出資を希望する事業領域として、主に以下のテーマが挙げられています。

1つ目はステーブルコインの普及と発行です。ゲームなどステーブルコインを利用する利点がある顧客層や加盟店を開拓する米ドル建てのサービスのほか、需要のある通貨に連動した米ドル以外の安全なステーブルコインの発行が求められています。

2つ目はステーブルコインを活用した銀行サービス(ネオバンク)です。既存の金融サービスが十分に行き届いていない層を対象としており、海外から仕事を受けるフリーランサーや、国際的に事業を展開する企業などを顧客として想定しています。適切なリスク管理体制の構築も求められています。

3つ目は現実資産(RWA:Real World Assets)のトークン化です。24時間世界中で売買できる点や分散型金融(DeFi)との連携を活かせる資産を対象としています。株式や債務性資産、コモディティに加え、不動産を非代替性トークン(NFT)化してブロックチェーン上の資金を住宅ローンに活用する構想や、スタートアップの株式、1万ドル未満の小口証券をオンチェーンで発行する仕組みが想定されています。

4つ目は取引市場およびインターフェースの開発です。トークン化した新たな資産やデリバティブ、特定地域に対応した取引所や操作画面の開発が対象となります。

5つ目はブロックチェーンを活用したAI事業の資金調達です。AI分野で拡大する投資需要を背景に、ブロックチェーンを通じて資金調達を容易にする仕組みを求めています。

6つ目はAIエージェント向けの取引基盤です。AIエージェントがオンチェーンの取引や融資、デリバティブ市場で主要な参加者になる可能性を踏まえ、自律的な取引を支えるツールやAPI基盤、法定通貨と暗号資産を相互に交換するゲートウェイの開発を挙げています。

オンチェーン金融への継続的な関与と今後の日程

Yコンビネーターは以前からオンチェーン金融の支援を推進してきました。2025年9月にはイーサリアムのレイヤー2ネットワーク「Base」やコインベース・ベンチャーズと連携し、「Fintech 3.0」の創業者募集を実施しました。

また、2026年2月にはプログラムの出資先に対して、標準出資額である50万ドルを米ドル連動型ステーブルコイン「USDC」で受け取れる選択肢を提供する方針を発表し、同年4月には予測市場関連のトータリスが全額USDCによる出資を受け入れています。

今回の暗号資産スタートアップ募集について、ダラル氏は金融ニーズを解決する企業への出資を増やしたいと説明しており、次回の応募締切は米太平洋時間の11月2日(月曜日)に設定されています。

ポイント

  • 米国を代表するスタートアップ支援組織のYコンビネーターが、暗号資産分野の出資テーマを公開し、実需に基づくスタートアップへの出資強化を表明した点で注目されます。
  • 過去1年の市場拡大要因を投機ではなく、原油リスクヘッジや企業間送金といった「機関主導の実需」と位置づけています。
  • 米ドル以外のステーブルコイン発行や、不動産・小口証券などの現実資産(RWA)トークン化、AIエージェントによる自律取引基盤など幅広い領域が対象に選ばれています。
  • 自社の出資資金にUSDC受け取りの選択肢を導入するなど、自組織の投資実務でもオンチェーン金融の活用を一貫して進めている背景があります。

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