国際送金のスピードとコストを根底から変えるRLUSD。
リップル社が2024年12月にローンチした米ドル連動ステーブルコインは、公開から数か月で時価総額約2億5,000万ドル、累計取引額100億ドルに迫る急成長を遂げています。
本記事では、RLUSDの仕組み・技術仕様・導入事例・他銘柄との比較を網羅し、金融機関や事業会社が新たな決済インフラを検討する際に必要な情報をご紹介します。
ぜひ最後までお付き合いください。
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RLUSD(リップルステーブルコイン)とは?

RLUSDは、Ripple Labs傘下のニューヨーク州限定目的信託会Standard Custody & Trust Co. が発行する米ドル連動型ステーブルコインです。
2024年12月17日にNYDFS(ニューヨーク州金融サービス局)の最終承認を受けて正式ローンチし、XRP Ledger(XRPL)とイーサリアムの両メインネットで流通を開始しました。
2024年12月末時点では、発行残高3,500万ドルに対し準備金3,503万ドル(カバレッジ比率100.1%)という結果が示されました。
ユースケースはRipple Paymentsを介したクロスボーダーB2B送金を中心に、機関投資家向け資金管理、DeFi流動性供給、資産トークン化プラットフォームでの決済通貨などへ拡大中です。
発行開始から数ヵ月で時価総額は約2億5千万ドルへ達し、流通量の伸びが続いています。
RLUSD(リップルステーブルコイン)のメリット
RLUSDはNYDFS承認の信託会社が発行し、現金・政府MMF・短期米国債で100%超裏付けられた準備金を信託口座に分離保管します。
毎月、独立会計士 BPM LLP のアテステーションでカバー率を開示するため、USDCと同等以上の透明性が確保されています。
XRP Ledgerとイーサリアムにネイティブ対応し、ガス代は極小、取引確定は数秒しかありません。
また、Ripple Paymentsと連携すれば、銀行を介さないクロスボーダー清算で最大90%の手数料削減が報告されています。
KYC/AMLを義務化した機関投資家向け設計により、規制遵守と流動性管理を両立しています。
さらにXRPLのDEXやトークン化プラットフォームと組み合わせることで、新規金融サービスを迅速に構築できる拡張性も大きな利点です。
CASIO(カシオ計算機株式会社)もWeb3領域で挑戦されている日本の企業様のうちの一社です。
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RLUSD(リップルステーブルコイン)の企業導入事例
RLUSDは次のようなユースケースでも採用が進んでいます。
BKK Forexは国際送金フローにRLUSDを組み込み、事前資金プールを圧縮し決済時間を「数日」から数秒に短縮、流動性コストを大幅削減しました。
iSendはRLUSD清算で仲介銀行を排除し総決済コストを約40%削減しています。
また、Instarem(Niumグループ)は内部財務処理時間を50%短縮し、1億ドル相当の追加運転資金を有効活用を実現。
MoneyMatchは送金コスト40%削減と同日内の資金着金を実現しています。
いずれの企業もRipple Payments経由で既存SWIFT網やNostro口座を不要化し、24時間365日対応のリアルタイム決済運用を構築。
これらのケーススタディは、RLUSDがコスト効率・決済速度・資金活用の三面で企業価値を高めることを実証しています。
RLUSD(リップルステーブルコイン)と他ステーブルコインとの比較検討

次に、RLUSDと主要な他のステーブルコインを比較するポイントをご紹介します。
1. 発行主体と規制
- RLUSD: Standard Custody(Ripple子会社)がNYDFS信託チャーターで発行。米国州レベルでは最も厳格な規制下にある。
- USDC: Circle Internet Financial が州ライセンス下で発行。Deloitteによる月次アテステーションと年次監査を実施。
- USDT: Tether Holdings Ltd.がケイマン籍で発行。四半期ごとに BDO Italia の証明書を公開、完全監査は未了。
- BUSD: Paxos がNYDFS承認で発行していたが、2023年2月に新規発行停止命令を受け、市場シェアを喪失。
規制順守の堅牢さではNYDFS承認のRLUSDが頭一つ抜け、BUSDの失墜は規制リスクの大きさを物語っています。
2. 準備資産の質と透明性
- RLUSD: 現金・政府MMF・短期米国債のみ。カバー率100%超を月次開示。
- USDC: 現金・短期米国債・レポ取引で構成。Circle Reserve Fund(BlackRock運用)による超流動性ポートフォリオ。
- USDT: 米国債比率は上昇したが、社債・ビットコイン・担保付きローンなどリスク資産も含む。
- BUSD: 発行停止前は現金/米国債100%と主張。
安全資産集中型のRLUSD・USDC に比べ、利回り追求型のUSDTは市場ストレス時の償還リスクが相対的に高いと評価されます。
3. ブロックチェーン対応と流動性
- RLUSD:XRPLとイーサリアムにネイティブ対応。発行量は急成長中だが流動性はまだ限定的。
- USDC:イーサリアム・Solana・Avalanche など10以上のチェーンに展開し、DeFi で高シェア。
- USDT:イーサリアム/Tronを中心に多数チェーンへ展開し、CEX取引量で圧倒的首位。
- BUSD:BNB Chain/ERC‑20 の流動性が大半だったが、発行停止で縮小。
ネットワーク効果では USDT が優位、分散型金融との統合では USDC が強みを維持しています。
RLUSDはRipple Payments ネットワークを足掛かりに、機関投資家トランザクションの深度を高めることが課題です。
4. 過去の安定性とリスクイベント
- RLUSD:ローンチ間もないため重大なデペッグ事例は未発生
- USDC:2023年3月、SVB破綻により0.87ドルまで下落も2日で回復
- USDT:2018年・2023年に複数回デペッグ(最安0.85ドル)を経験
- BUSD:重大デペッグなしだが、NYDFSの命令で発行停止
市場は規制リスク(BUSD)と準備金リスク(USDT)を織り込みつつあり、透明性の高い RLUSD・USDC への資金シフトが進む可能性があります。
RLUSD(リップルステーブルコイン)についてまとめ
今回、RippleのステーブルコインRLUSDについて下記の内容を紹介してきました。
- RLUSDは米ドル100%裏付けと月次監査で高い信頼性を確保
- 数秒決済・低ガス代により、銀行送金比で最大90%のコスト削減が可能
- クロスボーダー決済・サプライチェーン・社内トレジャリーなど、幅広いBtoBユースケースで導入が進行
- 主要ステーブルコインとの比較で、企業向けの規制対応と決済最終性が優位
最後までお読みいただきありがとうございました。
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