日本の暗号資産やデジタル資産を巡る制度設計が大きな転換期を迎えるなか、有識者が主導する有志組織が、あるべき産業構造を定義した提言ペーパーを作成しました。2027年に予定されている金融商品取引法への移行を見据え、業界の現在地と理想の姿を整理した内容となっています。2026年6月22日には、提言ペーパーの最終ドラフトの公開と、関連省庁の担当者を交えたディスカッションを行うイベントが開催される予定です。
有識者によるスタディ・グループが提言ペーパーを策定
昨年末に開催された金融審議会の暗号資産ワーキング・グループでメンバーを務めた森下哲朗氏(上智大学教授)や松尾真一郎氏(ジョージタウン大学教授)をはじめとする、アカデミアの有識者が主導し、有志組織であるデジタル資産のあるべき産業構造スタディ・グループが始動しました。同グループは、日本のデジタル資産業界における現在地と目指すべき理想の姿を整理し、定義した提言ペーパーを作成しました。このペーパーは、実効性の高い制度設計と、健全な市場の発展を促すための議論の土台となることが期待されています。
提言ペーパーが提示する3つの主要な論点
作成された提言ペーパーでは、主に以下の3つの観点から日本のデジタル資産業界の将来像を整理し、具体的な提言を行っています。
1つ目は、2027年に予定されている金商法移行による業界の変化です。暗号資産の取引等が金融商品取引法の規制下に移行することで、交換業者やウォレット事業者、分散型金融であるDeFi、そして伝統的金融であるTradFiなどの各プレイヤーにどのような影響が及ぶか、今後の論点が整理されています。
2つ目は、デジタル資産と伝統的金融の接続についてです。価格の安定を目指して設計されたデジタル資産とされるステーブルコインや、トークン化預金、ブロックチェーン技術を用いてデジタル化された有価証券とされるセキュリティ・トークン、トークン化されたMMF(マネー・マーケット・ファンド)などを含め、新たな金融および市場インフラの可能性が議論されています。
3つ目は、日本が必要とするデジタル資産のあるべき産業構造です。グローバルな競争が激化するなかで、日本が目指すべき市場構造や政策、産業戦略について提言がなされています。
6月22日開催のイベント概要
提言ペーパーの最終ドラフト公開に伴い、2026年6月22日にイベントが開催されます。当日は、関連省庁の担当者も交えて、実効性の高い法移行に向けたディスカッションが行われる予定です。
イベントはオフライン形式で、東京23区内の会場にて15時30分から17時まで開催されます。定員は50名の抽選制となっており、参加申し込みの締め切りは6月16日12時を予定しています。参加者には、7月に一般公開が予定されている提言ペーパーの最終ドラフトが先行配布され、現地での質疑応答やフィードバック、パブリックコメントを行う機会が用意されています。
ポイント
- 2027年の金商法移行を控え、アカデミアの有識者が主導する有志組織がデジタル資産のあるべき産業構造に関する提言ペーパーを作成しました。
- 提言ペーパーでは、金商法移行が交換業者やDeFi、伝統的金融などの各プレイヤーに与える影響や、新たな金融インフラの可能性が整理されています。
- 2026年6月22日に最終ドラフトを公開し、関連省庁の担当者も交えてディスカッションを行うイベントが開催されます。
- イベント参加者には提言ペーパーが先行配布され、実務的な意見やフィードバックを寄せる機会が提供される予定です。
- この取り組みは、グローバル競争が激化するなかで日本が目指すべき市場構造や政策戦略をいち早く把握し、自社の事業戦略に活かすための重要な機会になると見られます。