GMOあおぞらネット銀行は2026年5月27日、都内で事業戦略説明会を開催しました。説明会では、同行が国内で唯一発行しているトークン化預金「DCJPY」についても触れられました。代表取締役会長の金子岳人氏は会見後のインタビューで、トークン化預金の実用化に向けた課題として「マルチバンク化」の遅れを指摘し、単一銀行内にとどまらない仕組みづくりの重要性を語りました。
トークン化預金「DCJPY」をめぐる現状とこれまでの取り組み
GMOあおぞらネット銀行は、ディーカレットDCPが手がけるプラットフォームを活用し、トークン化預金である「DCJPY」を発行しています。トークン化預金とは、ブロックチェーンや分散台帳技術を応用して銀行預金をデジタルトークン化したもので、現時点で同行は国内唯一の発行銀行となっています。
トークン化預金をめぐる動きは国内で広がりを見せています。2025年9月にはゆうちょ銀行が2026年度中にDCJPYを活用することを発表しました。さらに2026年4月には、GMOあおぞらネット銀行がディーカレットDCPおよびアビームコンサルティングと共同で進める、トークン化預金を用いた内国為替の銀行間決済の高度化に関する取り組みが、金融庁の支援案件に採択されています。
金子会長が指摘するマルチバンク化の必要性と技術の位置づけ
事業戦略説明会後のインタビューにおいて、GMOあおぞらネット銀行の代表取締役会長である金子岳人氏は、トークン化預金の実用化を進める姿勢を示しつつも、現状の課題として「マルチバンク化がなかなか進んでいない」と指摘しました。
金子氏によると、現在のように単一の銀行内に閉じた世界では、トークン化預金ならではの付加価値を出しづらいといいます。現状でもGMOあおぞらネット銀行同士の振込手数料は、個人口座・法人口座ともに無料となっています。そのため、単一銀行内の閉じた仕組みにとどまる限り、トークン化預金ならではのメリットを発揮することが難しいのが実情です。
また金子氏は、将来的にAIエージェントが普及することで取引数(トランザクション数)が急拡大し、微小な決済(マイクロペイメント)が発生する可能性に言及しました。そのうえで、ブロックチェーンは「基盤の1つとして組み込まれていくもの」と位置づけつつも、「ユースケースがまだうまく成り立っていない」と述べ、社会実装に向けた具体的な議論はこれから本格化するとの見方を示しました。
ポイント
- GMOあおぞらネット銀行は、国内で唯一トークン化預金「DCJPY」を発行しており、実用化を進める姿勢を示しています。
- ゆうちょ銀行による2026年度中のDCJPY活用発表や、金融庁の支援案件への採択など、実証実験や議論は進みつつあります。
- 会長の金子岳人氏は、単一銀行内にとどまらない「マルチバンク化」が進まなければ、トークン化預金ならではの付加価値やメリットを発揮しづらいと指摘しています。
- 将来的なAIエージェントの普及に伴うトランザクション急増を見据え、ブロックチェーンは基盤の1つになると位置づけられる一方、実用的なユースケースの確立は今後の課題とされています。