米通貨監督庁(OCC)は、テキサス州に拠点を置くUnited Texas Bank(UTB)に対し、州法銀行から国法銀行への転換を条件付きで承認しました。国法銀行への転換により、同行は大手銀行と同等の立場となり、連邦準備制度理事会(FRB)の決済システムへの直接アクセスや、全面的な信託業務権限などを獲得します。暗号資産(仮想通貨)企業向けに約5年前からサービスを提供してきた同行が国法銀行となることで、暗号資産業界における米ドルへのアクセス向上が期待されています。
承認の条件とコンプライアンス強化の背景
OCCが5月15日に明らかにした承認にあたり、UTBは2つの条件を満たす必要があります。
1つ目の条件は、転換の効力発生日から3営業日以内に、FRBおよびテキサス州銀行局(DOB)が2024年8月29日付けで同行に対して発出した停止命令と実質的に同様の是正措置を含む「同意命令」を締結することです。2つ目の条件は、同行の頭取と取締役会会長が2026年5月14日付けでOCC宛てに提出した書簡に記載された事項を遵守することとなっています。
UTBは2024年以降、銀行秘密法(BSA:金融機関に不審な取引の報告などを義務付ける法律とされています)およびコンプライアンスインフラに関連してFRBの同意命令の下で運営されていました。これに対し同行は、独自のBSAおよびマネーロンダリング対策(AML:不正資金の移動を防ぐ取り組みとされています)用のコンプライアンス・プラットフォームである「UTB PRISM SENTINAL」を構築して対応してきたとしています。
暗号資産業界における米ドルアクセスの確保と獲得する権限
今回の転換承認は、2010年にドッド・フランク法(米金融規制改革法)が成立して以来、OCCによる国法銀行(連邦政府の認可を受けて全米規模で活動できる銀行とされています)への転換承認を取得した初期事例の1つとなります。
UTBの頭取兼CEOであるScott Beck(スコット・ベック)氏は、暗号資産企業がBank of AmericaやCitibankなどの大手銀行で口座を開設することは困難であると指摘した上で、「UTBを利用すれば、米ドルへの完全なアクセスを得られる」と述べています。
国法銀行への転換により、UTBはBank of AmericaやJPMorgan Chaseと同等の立場となります。これにより、連邦政府からの同等の認可、全面的な信託業務権限、FRBの「Fedwire」(連邦準備銀行が運営する大口の即時資金決済システムとされています)や「ACH」(小口の電子決済を行う自動決済室システムとされています)などの決済システムへの直接アクセスを獲得する一方、既存のFDIC(連邦預金保険公社とされています)による預金保険も維持されます。
UTBは約5年前から暗号資産企業向けにサービスを提供しており、年間1200億ドル(約18兆6000億円、1ドル155円換算)を超える取引を処理している実績があり、今回の転換によってそのサービス提供能力がさらに強化される可能性があります。
ポイント
- 米通貨監督庁(OCC)が、テキサス州のUnited Texas Bank(UTB)に対し、州法銀行から国法銀行への転換を条件付きで承認しました。
- 承認には、FRBなどの停止命令と同様の是正措置を含む同意命令の締結や、OCC宛ての書簡事項の遵守という2つの条件が課されています。
- 同行は、2024年のFRB同意命令に対応するため、独自のBSA/AMLコンプライアンス・プラットフォーム「UTB PRISM SENTINAL」を構築しています。
- 国法銀行への転換により、大手銀行と同等の立場となり、FRBの決済システムへの直接アクセスや信託業務権限などを獲得します。
- 暗号資産企業に対して米ドルへの完全なアクセスを提供する役割を担うことで、業界の決済インフラとしての重要性が高まると見られます。