機関投資家向けの暗号資産プライムブローカーであるFalconXが、米国証券取引委員会(SEC)に対し、新規株式公開(IPO)に向けた登録届出書(S-1)の草案を非公開で提出したことが明らかになりました。上場時期は2026年末頃と見込まれており、金融大手のCantor Fitzgeraldなどがアドバイザーを務めているとされています。暗号資産業界のIPO市場が減速傾向にあるなかで、同社の動きは市場への公開アプローチにおける企業間の姿勢の違いを浮き彫りにしています。
堅実な成長を背景に進められるFalconXのIPO準備
FalconXは2018年に設立され、ヘッジファンドや資産運用会社などの機関投資家を対象に、暗号資産の取引実行や流動性提供といった専門的なサービスを提供しています。同社は2022年の資金調達ラウンドにおいて80億ドルの企業価値評価を受けており、業界内でも高い存在感を示してきました。今回のIPO申請にあたっては、SECに財務情報などを一般公開せずに審査を受けられる非公開提出(confidential filing)の仕組みを活用しており、金融大手のCantor Fitzgeraldなどをアドバイザーに起用して慎重に準備を進めているとされています。
暗号資産業界におけるIPO市場の現状と企業間の対応の違い
2025年にCircleやBullishが上場したことを受け、2026年は暗号資産関連企業のIPOが活発化すると予測されていました。しかし、その後の市場環境の悪化や取引高の減少、直近で上場したBitGoの株価推移などが影響し、業界全体の新規上場のペースは減速しています。
こうした状況下で、関連企業の対応には明確な違いが生じています。Krakenの親会社であるPayward、イーサリアム開発企業のConsensys、ハードウェアウォレット開発のLedger、資産運用会社のGrayscaleなどは、市場の回復を待つためにIPO計画を延期しています。
その一方で、FalconXや、2026年5月22日に非公開申請を行ったとされるBlockchain.com、さらにはSPAC(特別買収目的会社)経由での上場を目指すSecuritizeのように、着実に公開市場へのアプローチを続ける企業もあり、業界内での戦略の二極化が進んでいると見られます。
ポイント
- FalconXが米SECに対し、IPOに向けたS-1登録届出書の草案を非公開で提出したことが報道されました。
- 実際の上場時期は、現在の不安定な市場環境を考慮して2026年末頃になる見通しとされています。
- 2026年の暗号資産関連IPO市場は、市場環境の悪化やBitGoの株価推移などの影響により減速傾向にあります。
- 多くの主要企業がIPO計画を延期する一方で、FalconXやBlockchain.comのように準備を進める企業もあり、市場へのアプローチにおいて対応の違いが見られます。