米国の証券決済インフラ大手であるDTCCが、DTC保管資産のトークン化サービスの基盤としてStellarネットワークを接続する計画を発表しました。今回の取り組みは、米証券取引委員会(SEC)が2025年12月に発行したノーアクション・レター(執行措置を求めないとする書面)を受けたもので、2027年上半期中のサービス開始を目指しています。伝統的金融の巨大な市場とパブリックブロックチェーンを繋ぐ動きとして、Web3業界における現実資産(RWA)のトークン化をさらに加速させる可能性があります。
伝統的金融とパブリックチェーンの融合:DTCCがStellarとの接続を計画
米国の証券決済インフラ大手であるDepository Trust & Clearing Corporation(DTCC)と、Stellar Development Foundation(SDF)は、DTCC傘下のDepository Trust Company(DTC)が保管する証券をStellarブロックチェーンネットワーク上でトークン化する計画を明らかにしました。
DTCCは、世界の金融サービス業界のために取引後の市場インフラを運営する大手金融機関とされています。年間約3700兆ドルから4700兆ドル相当の証券取引において清算、保管、決済を担う世界最大規模の金融取引処理機関です。今回の枠組みにより、DTCが保管する証券は、従来型証券と同じ投資家保護、権利、各種保全措置を維持したまま、Stellarを通じてブロックチェーン上で移転できるようになります。
SECのノーアクション・レターと今後のスケジュール
今回の計画は、米証券取引委員会(SEC)が2025年12月に発行したノーアクション・レターを受けたものです。このレターにより、DTCの保管インフラ内で保有される現実資産(RWA)を対象としたトークン化サービスの実装・運用について、SECが執行措置を求めない姿勢が示されました。
DTCCとSDFの発表によると、DTCのトークン化サービスを通じてトークン化された資産は、2027年上半期中にStellarネットワーク上で利用可能になる見通しです。両社は、ラッセル1000構成銘柄、主要ETF、米国国債(短期・中期・長期)など、流動性の高い伝統的金融資産に関連するトークン化ユースケースを検討しています。
DTCCのフランク・ラサラCEOは、今回の協業について、伝統的市場とデジタル市場をつなぐ、オープンで相互運用可能なデジタルインフラを構築するDTCCの取り組みにおけるさらなる一歩であると述べています。
国家規模の導入に続くStellarのRWA展開
DTCCの幹部は、今回のトークン化構想でStellarが選定された主な理由として、コンプライアンスを重視した設計、取引処理能力、そして低コストの決済インフラを挙げています。Stellarは証券、決済、送金などのアプリケーションで利用される、カスタマイズ可能なパブリックブロックチェーンとされています。
Stellarネットワーク上での現実資産(RWA)の展開はすでに拡大しており、同ネットワーク上で流通するトークン化資産の価値は現在約18億ドルに達しています。さらに、Stellarは国家規模での導入実績も有しています。2025年後半にはマーシャル諸島共和国で全国規模のオンチェーン・ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)プログラムが開始され、2026年5月12日にはバミューダ政府が決済および金融サービスインフラの一部をStellarへ移行する計画を発表しました。
伝統的金融の主要機関による採用と国家規模での導入事例が重なったことで、Stellarは規制に準拠した金融インフラを支える主要ブロックチェーンネットワークとしての存在感を強めています。今回の発表を受けて、StellarのネイティブトークンであるXLM(ステラルーメン)の価格は一時17%上昇し、予測市場における将来的なパフォーマンスへの期待も再評価されています。
ポイント
- 世界最大級の決済機関DTCCが、DTC保管資産のトークン化サービスの基盤としてStellarネットワークの採用を発表しました。
- 2025年12月の米SECによるノーアクション・レターに基づき、2027年上半期までのサービス提供開始を目指しています。
- 対象資産として、ラッセル1000構成銘柄や主要ETF、米国国債など、流動性の高い伝統的金融資産のトークン化が検討されています。
- Stellarのコンプライアンス重視の設計、取引処理能力、低コストの決済インフラが、今回の選定において評価されました。
- バミューダやマーシャル諸島での国家規模のプロジェクトに続き、DTCCとの提携により、StellarのRWAインフラとしての信頼性がさらに高まるものと見られます。