米資産運用大手Fidelityのデジタル資産部門であるFidelity Digital Assetsは、2026年上半期を振り返る最新レポートを公表しました。レポートでは、イランがホルムズ海峡の通行料支払いにビットコインを受け入れた事例を取り上げ、米ドルを中心とした既存のグローバル決済システムからの脱却が進んでいる可能性を指摘しています。本記事では、この動きの背景にあるゴールドの台頭や暗号資産市場の構造的な変化について解説します。
米ドル依存からの脱却と代替決済の台頭
Fidelity Digital Assetsが2026年5月28日に公表したレポート「6 Key Trends Shaping Digital Assets in 2026(2026年のデジタル資産を形成する6つの主要トレンド)」では、ゴールドの強さと米ドル中心システムからの脱却が重要なテーマとして掲げられています。
同レポートは、イランがホルムズ海峡の通行料および関連支払いにビットコイン(BTC)を受け入れた事例を、従来の決済システムに依存しない代替決済メカニズムが台頭している具体的な証拠として紹介しました。ビットコイン支持者の間では、ビットコインが持つ中立性、没収耐性、分散性といった特性から、将来的に世界の基軸通貨として米ドルに取って代わる可能性を示すものとの見方が出ています。
ゴールドの準備資産増加とビットコインの現状
レポートでは、代替資産としてのゴールドの強さについても言及されています。各国の中央銀行がゴールドの保有を積み増した結果、世界の準備資産の構成において、ゴールドが米ドルや米国債を上回る構成要素となったとされています。
一方で、ビットコインの価格推移については、ゴールドのような好調な動きはまだ実現していないと指摘されています。ビットコインは2026年の年初来で約13%下落しており、地政学的緊張やインフレの持続、利下げ観測の後退などが下落の重荷になっていると見られます。
構造的な追い風は依然として健在
Fidelityは、2026年1月に発表した年初展望において、この1年を価格が急騰する年ではなく、エコシステム全体の構造的な再構築(retooling)の年と位置づけていました。今回のレポートはその進捗を検証したものとなります。
短期的にはビットコインの価格が低迷しているものの、Fidelityは以下の構造的な追い風が依然として健在であると評価しています。
- 機関投資家による資本流入
- 規制の明確化
- 世界的な流動性の拡大
これらの要因は、暗号資産市場が中長期的に成長を続けるための基盤となると見られます。
ポイント
- Fidelity Digital Assetsが2026年5月28日に最新レポート「6 Key Trends Shaping Digital Assets in 2026」を公表しました。
- イランがホルムズ海峡の通行料支払いにビットコインを受け入れた事例を、米ドル中心の決済システムから脱却する代替決済メカニズムの台頭として挙げています。
- 各国中央銀行によるゴールドの保有積み増しが進み、世界の準備資産においてゴールドが米ドルや米国債を上回る構成要素となったことが示されています。
- ビットコインの価格は年初来で約13%下落しているものの、機関投資家の資金流入や規制の明確化といった構造的な追い風は健在と評価されています。