民事再生手続き中の暗号資産取引所Mt. Gox(マウントゴックス)が、2026年6月2日にコールドウォレットから約7億3900万ドル相当のビットコインを移動させたことが判明しました。今回のオンチェーン上での動きは、2026年3月以来、2カ月超ぶりの出来事となります。この大規模な資金移動は、2026年10月に期限を控える債権者への分配に向けた準備である可能性が浮上しており、市場関係者の間で今後の影響が注目されています。
コールドウォレットから非公開アドレスへの送金詳細
オンチェーン分析企業Arkham Intelligence(アーカム・インテリジェンス)のデータによると、Mt. Goxは協定世界時(UTC)午前4時47分にビットコインの移動を行いました。
移動された資金の内訳として、まずコールドウォレット(インターネットから切り離された安全な保管環境)から、約7億3080万ドル(約1169億2800万円、1ドル=160円換算)に相当する1万306BTCが非公開の新しいアドレスへ送金されました。このビットコインはArkhamのデータ上、現在「未使用(unspent)」と表示されており、送金先のアドレスに留まったまま、さらに別の宛先へは動いていないことが示されています。
これと同時に、約825万ドル(約13億2000万円)に相当する116.3BTCがホットウォレット(インターネットに接続された送金用の環境)へ別途送金されました。こちらは「使用済み(spent)」として処理されています。
今回の送金処理を経た後も、Mt. Goxはウォレット全体で約24億1000万ドル(約3856億円)相当の3万4504BTCを依然として保有しているとみられます。
弁済スケジュールと市場への影響に関する見通し
今回の資金移動は、債権者への分配手続きが間近に迫っているのではないかという憶測を呼んでいます。Mt. Goxはかつて世界のビットコイン取引の約7割を処理する世界最大の取引所でしたが、2014年に約85万BTCの消失を公表して破綻しました。その後、一部のビットコインが回収され、2024年7月から管財人による弁済が開始されています。
しかし、弁済手続きの難航に伴い、期限はこれまでに3度延期されており、現在の最終期限は2026年10月31日に設定されています。
10年以上もの間、資金の回収を待ってきた債権者が、ビットコインを受け取った時点で即座に売却を選択する可能性があるため、これが市場の重荷(売り圧力)になるのではないかと懸念する声もあります。
一方で、今回の送金先は暗号資産取引所のアドレスとは確認されておらず、過去の大規模送金の際にもウォレット間の内部整理であったケースが多いことから、直ちに売り圧力に直結するとは限らないという指摘もあります。
ポイント
- Mt. Goxが2026年6月2日に、コールドウォレットから約7億3900万ドル相当のビットコインを移動させました。
- 移動されたビットコインの大半は非公開の新しいアドレスへ送られ、現時点ではさらに別の場所へは動いていません。
- 今回の資金移動は、2026年10月31日に最終期限が設定されている債権者への弁済に向けた準備である可能性があります。
- 債権者による売却を警戒する見方がある一方で、取引所への直接的な送金ではないため、直ちに市場への売り圧力になるとは限らないとする指摘もあります。