暗号資産Zcash(ZEC)において、プライバシー機能「Orchard」のゼロ知識証明回路に重大な脆弱性が発見され、緊急のネットワークアップグレードが実施されました。一時的な機能停止を伴うソフトフォークを経て、ハードフォーク「NU6.2」が適用され、バグの修正と機能の再有効化が完了しました。暗号資産市場全体が下落する中、この迅速な対応が好感されたと見られ、ZEC価格は市場に逆行して5%上昇しました。
脆弱性の発見と緊急ソフトフォークによる一時対応
Zcash財団の発表によると、2026年5月29日に独立セキュリティ研究者のTaylor Hornby氏が、ZcashのOrchard(オーチャード)ゼロ知識証明回路における重大な健全性の脆弱性を発見したとされています。この脆弱性は、悪用された場合にOrchardプール内での二重支払いを可能にするリスクを孕んでいたと報告されています。
開発陣は悪用リスクを最小限に抑えるため、情報を非公開にしたままマイナーや取引所と迅速に連携を開始しました。そして2026年6月2日、一時的な対策として「Zebra 4.5.3」による緊急ソフトフォークを実行し、Orchardを含むトランザクションやブロックの受け入れを一時的に停止したとされています。
ハードフォーク「NU6.2」の実施とOrchard機能の復旧
一時的な停止措置の後、Zcash財団はバグを完全に修正した「Zebra 5.0.0」をリリースしました。2026年6月3日には、メインネットのブロック高3,364,600においてハードフォーク「NU6.2」がアクティベートされ、修正された回路を用いてOrchard機能が安全に再有効化されたとされています。
Zcashの歴史において、セキュリティ上の問題からプロトコルのアップグレードが行われたのは、2016年のローンチ以来、今回が2回目であるとされています。
ユーザー資産とプライバシーへの影響
Zcash財団は、今回の脆弱性が実際に悪用された形跡はなく、ZECの総供給量における不正な発行は確認されていないと発表しています。また、Orchard機能が一時停止されていた間も、別のプライバシー機能である「Sapling(サプリング)」や、通常の「透明(transparent)トランザクション」は通常通り稼働しており、ユーザーのプライバシーや資産の安全性は損なわれなかったとされています。
市場の下落に逆行するZEC価格の推移
この緊急バグ修正が行われる中、暗号資産市場全体は広範な下落局面(セルオフ)に見舞われていました。しかし、ZECの価格は市場の動きに逆行し、5%の上昇を記録しました。開発チームによる迅速な問題検知と修正対応が、市場参加者からの信頼維持や安心感につながったと見られます。
ポイント
- Zcashのプライバシー機能「Orchard」のゼロ知識証明回路に、二重支払いのリスクを伴う重大な脆弱性が発見されました。
- 開発陣は緊急ソフトフォークによって一時的に機能を停止した後、ハードフォーク「NU6.2」を適用してバグを完全に修正しました。
- 脆弱性の悪用や不正なZECの発行、ユーザープライバシーの侵害などは一切発生しなかったと発表されています。
- 暗号資産市場全体が下落する中、Zcashの迅速な対応が信頼を集めたと見られ、ZEC価格は市場に逆行して5%上昇しました。