米財務長官が戦略的ビットコイン準備金とクラリティ法案の進展を証言 トランプ政権の暗号資産政策が本格始動か

アメリカ財務省のスコット・ベッセント長官は2026年6月3日、上院財政委員会の公聴会において、国家による戦略的ビットコイン準備金の設立計画と、現在上院で審議中の包括的な暗号資産規制法案「クラリティ法案」の双方について、前向きな進展があることを証言しました。ベッセント長官は、トランプ大統領が2025年に署名した準備金設立命令を「迅速に進めている」と言及し、クラリティ法案についても今夏の上院通過を目指して支持を表明しています。財務長官が公の場で実務と立法の両面において明確な前進姿勢を示したことは、一部で停滞が指摘されていたトランプ政権の暗号資産政策が具体的に動き始めたことを示唆しており、Web3業界のビジネスパーソンにとって極めて重要なシグナルとなります。

戦略的ビットコイン準備金の設立に向けた実務の進展

米財務長官が戦略的ビットコイン準備金とクラリティ法案の進展を証言 トランプ政権の暗号資産政策が本格始動か

2027会計年度の財務省予算に関する上院財政委員会の公聴会において、ベッセント財務長官はティム・スコット上院議員からの質問に答え、戦略的ビットコイン準備金およびデジタル資産備蓄の設立プロセスについて、慎重かつ迅速に進めていると述べました。

この準備金は、ドナルド・トランプ大統領が2025年に署名した設立命令に基づくものです。ベッセント長官は、戦略的ビットコイン準備金について、新しい技術であり未踏の領域であると説明し、複雑なプロセスを進めるにあたってベストプラクティスを採用し、将来にわたって持続可能なものとなるよう努めていると強調しました。

現在、アメリカ政府は約2150億ドル(約34兆4000億円、1ドル=160円換算)相当にあたる32万8372 BTCを準備金として保有しています。この巨額の資産の保管と維持に向けた実務が、財務省主導で着実に前進していることが浮き彫りとなりました。

包括的規制法案「クラリティ法案(CLARITY Act)」への支持と今夏の成立見通し

公聴会では、マイク・クレイポー財政委員会委員長から、上院で審議中の暗号資産市場構造法案「クラリティ法案(Digital Asset Market Clarity Act:CLARITY Act)」に関する質問も投げかけられました。

クラリティ法案は、下院を通過してからほぼ1年が経過している包括的な規制法案です。この法案は、暗号資産の規制管轄を明確にし、証券取引委員会(SEC)や商品先物取引委員会(CFTC)の役割分担を定めるほか、消費者保護基準の強化や取引プラットフォームの登録制度などを設けるものとされています。

ベッセント長官は、この法案がアメリカのベストプラクティスを国内に導入するために非常に必要であると強調し、上院に対して法案を支持するよう促しました。さらに、長官はこの夏の上院通過を目指しているとも明言しました。

業界への影響と伝統的金融機関との対立

クラリティ法案を巡っては、業界団体であるブロックチェーン・アソシエーションが元当局者160人の署名を集めて可決を要請するなど、Web3業界からの期待が高まる一方で、伝統的金融業界との対立も表面化しています。

例えば、JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは、銀行はクラリティ法案に反対する戦いを続けると表明しています。また、ステーブルコインなどのデジタル資産が銀行預金を脅かす懸念から、金利や報酬の付与に対する規制強化を求める伝統的金融機関の動きなどもあるとされています。

これまでトランプ政権の暗号資産政策は具体的な進展が見えづらく、一部で停滞が指摘されていましたが、今回の財務長官の証言により、実務(準備金)と立法(クラリティ法案)の両面で具体的な動きが始まっている可能性が示されました。クラリティ法案の今夏の成立が実現すれば、長年米国のWeb3ビジネスにおける最大の課題であった規制の不確実性が大幅に解消される可能性があります。一方で、伝統的銀行業界が法案に反対する姿勢を示していることから、上院での審議は伝統的金融機関とWeb3業界の議論が交わされる重要なプロセスとなっています。

ポイント

  • アメリカ財務省のベッセント長官が、戦略的ビットコイン準備金設立を迅速に進めていると公聴会で証言しました。
  • アメリカ政府は現在、約2150億ドル(約34兆4000億円)相当にのぼる32万8372 BTCを準備金として保有しています。
  • ベッセント長官は、暗号資産の明確な規制枠組みを定めるクラリティ法案を強く支持し、この夏の上院通過を目指す意向を示しました。
  • 財務長官が実務と立法の両面で前向きな姿勢を明確にしたことで、トランプ政権の暗号資産政策の具体化が期待されます。
  • 一方で、伝統的金融機関などからはクラリティ法案に対する反対や修正を求める動きがあり、法案の修正や成立に向けた議論が続いています。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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