資金洗浄の疑いによるMoneroの27パーセント急騰、薄い流動性により大口取引の隠蔽が困難に

暗号資産市場において、1億2020万USDT(テザー)に及ぶ不正資金の一部がプライバシーコインであるMonero(モネロ、XMR)へ流入したとみられる取引が発生し、XMR価格が数時間で27パーセント急騰しました。オンチェーンアナリストの追跡により、特定のTronアドレスからKuCoinなどの取引所や即時交換業者へ資金が移動したことが判明しています。Tether社がこのうち7200万ドルを迅速に凍結した一方で、薄い流動性を持つMoneroの取引板(オーダーブック)では大口の取引を隠すことができず、価格の異常な急騰を招く結果となりました。この出来事は、プライバシーコインにおける大口取引の隠蔽がいかに困難であるかを示す事例として、Web3業界で注目されています。

1億2000万ドル規模の資金移動とMoneroの価格急騰

資金洗浄の疑いによるMoneroの27パーセント急騰、薄い流動性により大口取引の隠蔽が困難に

オンチェーンアナリストのZachXBT氏による追跡調査によると、2026年6月11日に1億2020万USDTを受け取ったTronアドレスから一連の資金移動が開始されました。このうち1750万ドル以上が暗号資産取引所KuCoinのデポジットアドレスへと送金され、800万ドルが即時交換業者へと流れたとされています。

この主体がMonero(XMR)の買い注文を入れたことで、XMRの価格は一時330ドルから420ドルへと急騰しました。さらに、別の800万ドル以上の資金がNear Intentsを経由してTronからBitcoinやEthereumへとブリッジされたと報告されています。なお、ステーブルコインUSDTの発行元であるTether社は、この動きを検知してから1日以内に、該当する資金のうち7200万ドルを凍結したとされています。

主要取引所のデリストがもたらした流動性の低下

Moneroは時価総額で16位(約71億ドル)に位置する主要な暗号資産ですが、取引板(オーダーブック)の厚みは非常に薄い状態にあります。これは、2024年にコンプライアンスへの懸念からBinance(バイナンス)などの主要な暗号資産取引所がMoneroの上場を廃止(デリスト)したことが背景にあるとされています。

上場廃止によって大口の取引を分散して処理できる取引所が減少した結果、直近24時間の取引高が約3億300万ドルにとどまるなど、Moneroの流動性は低下していました。このような流動性の低い市場で巨額の買い注文を実行したため、価格が数時間で27パーセントも跳ね上がる結果となりました。

大口取引の隠蔽における限界と流動性コスト

今回の急騰は、取引を行った主体にとっても極めて非効率的な結果をもたらしたとみられます。注文が約定するたびに市場価格が上昇したため、後半の買い注文は初期の注文に比べて最大27パーセントも高い価格で成立することになり、薄い流動性が取引主体に対する実質的な「税金」として機能したと分析されています。

また、この急激な価格変動はチャート上に明確な足跡を残すことになり、市場のトレーダーたちに対して異常な取引が行われていることをリアルタイムで知らせる警告の役割を果たしました。プライバシーを重視する暗号資産であっても、その取引規模が大きすぎる場合には、市場の流動性の限界によってその行動を隠し通すことはできないという技術的・構造的な限界が浮き彫りになりました。なお、同様の事例として、2025年4月にも3億3000万ドル規模の盗難ビットコインがMoneroに交換された際、同様の価格高騰が発生した前例が指摘されています。

ポイント

  • 1億2020万USDT規模の資金移動の一部がMonero(XMR)の買い注文に充てられたとみられ、XMR価格が数時間で27パーセント急騰しました。
  • ステーブルコイン発行元のTether社は、関連する資金のうち7200万ドルを1日以内に迅速に凍結しました。
  • 2024年の主要取引所による上場廃止の影響でMoneroの流動性が低下しており、大口取引を隠蔽することが極めて困難な市場環境となっています。
  • 急激な買い注文が価格を押し上げたため、取引主体は後半の注文で最大27パーセント高いコストを支払うことになり、薄い流動性が実質的なコスト負担として機能しました。
  • プライバシーコインであっても、大規模な資金移動は市場の取引板に明確な痕跡を残すため、完全な隠蔽は難しいという限界が改めて示された点で注目されます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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