Solana Foundationは、バリデータとトークン委任者がプロトコルに関する重要な意思決定に参加できるオンチェーンガバナンスシステム「Solana Governance Proposals(SGP)」の稼働を開始しました。このシステムにより、一定以上のステークを持つバリデータが提案を作成できるようになり、ネットワーク全体の意思決定プロセスがより透明化されます。さらに、一般のSOLホルダーである委任者がバリデータの投票を上書きできる仕組みも導入され、ステーカーの主権が強化された点が特徴です。本取り組みは、Solanaネットワークの分散化とガバナンスのあり方を大きく変える一歩として注目を集めています。
SGPの仕組みと提案の要件
新たに導入されたオンチェーンガバナンスシステム「Solana Governance Proposals(SGP)」では、提案の提出から投票、可決までに厳格なプロセスが設けられています。
まず、提案を提出できるのは、少なくとも100,000 SOL(Solanaのネイティブトークン)の委任を受けているバリデータ(ネットワークの取引検証を行う事業者)に限定されます。提出された提案が正式な投票に進むためには、ネットワーク全体のアクティブなステーク(ネットワークに預け入れられているトークン)のうち15%以上の支持を得る必要があります。これにより、支持の低い提案が乱立してコミュニティの関心を分散させるのを防ぐ設計となっています。
正式な投票フェーズに移行した後は、ステークの重みに応じた投票(保有または委任しているトークン量に応じた投票)が行われます。提案が承認されるには、賛成票が賛成と反対の合計ステークの3分の2(66.67%)以上に達する必要があるとされています。また、投票結果は「Merkle proof(マークル証明:データの整合性を高速かつ安全に検証する暗号技術)」を用いて暗号学的に検証され、すべての結果がオンチェーン上に恒久的に記録されます。
委任者の投票上書き権によるステーカー主権の確立
今回のシステムにおける最も重要な特徴の一つが、委任者(デリゲーター:自身でノードを運用せず、バリデータにSOLを預けてステーキング報酬を得ている一般ユーザー)に対する「投票上書き権(オーバーライド機能)」の付与です。
これまでの仕組みでは、バリデータが委任されたすべてのステークを代表して投票を行っており、トークン保有者が個別に意思決定に関与する手段はありませんでした。しかし、SGPの導入により、委任者は自身が委任しているバリデータの投票方針に同意できない場合、あるいはバリデータが棄権した場合に、自身のステーク重みに基づいて個別に直接投票を行い、バリデータの投票を上書きできるようになりました。
Solana Foundationはこの仕組みを「ステークホルダーの主権」と呼んでおり、実質的な投票権をバリデータに完全に委ねるのではなく、トークン保有者の手元に残すことを目的としています。
技術的提案「SIMD」との役割分担
今回ローンチされたSGPは、従来の技術的なプロトコル変更提案プロセスである「Solana Improvement Documents(SIMD)」とは明確に区別されています。
SIMDが「技術的にどのように変更を実装するか」という具体的な仕様を開発者中心に議論するものであるのに対し、SGPは「ネットワークとして特定の意思決定を行うべきか」という、より広範なガバナンス上の合意形成を担うとされています。これにより、開発チームによる技術的な設計のコントロールを維持しつつ、経済的影響を伴う重要な判断についてはコミュニティやバリデータの意思を反映させる、役割の分担が可能になるとされています。
ポイント
- Solana Foundationが、バリデータとトークン保有者によるオンチェーンガバナンスシステム「SGP」をローンチしました。
- 提案の提出には100,000 SOL以上の委任が必要であり、投票フェーズに進むにはネットワーク全体の15%以上の支持が必要です。
- 一般のトークン委任者がバリデータの投票を上書きできる「オーバーライド機能」が導入され、ステーカーの主権が強化されました。
- 投票はステークの重みに応じて行われ、可決には3分の2以上の賛成が必要で、結果はマークル証明により検証されオンチェーンに記録されます。
- 技術仕様を議論するSIMDとは異なり、SGPはネットワーク全体の意思決定を透明かつ体系的に進めるための枠組みとして機能します。