米ウェブインフラ大手のCloudflareは、ウェブページやデータセット、API、MCP(Model Context Protocol:AIモデルとデータソースを接続するための規格)ツールなどのデジタル資産に対して課金できる新機能「Monetization Gateway」のウェイトリストを開始しました。このサービスは、オープンな決済プロトコルであるx402を介して、ステーブルコインによる決済処理を行います。AIエージェントの普及に伴い、従来の広告やサブスクリプションに依存したウェブのビジネスモデルから、リクエスト単位の従量課金モデルへの移行を支援することが目的です。また、この取り組みを主導するため、元SyndicateのWill Papper氏がAgent Paymentsのプロダクトマネージャーとして同社に参画しました。
Monetization Gatewayの概要と機能
Cloudflareが発表したMonetization Gatewayは、Cloudflareで保護されている任意のデジタル資産に対して課金ルールを設定できるエンジンです。顧客は自前で決済システムやユーザー認証、APIキー管理、請求書発行などの複雑なインフラを構築する必要がありません。Cloudflareの管理画面やAPIから支払いルールを定義するだけで、ネットワークのエッジ(境界)部分で支払いの検証、執行、決済が完結します。
決済は、x402プロトコルを通じてステーブルコインで即時に処理されます。これにより、従来のクレジットカード決済では手数料の都合上困難であった、1回あたり1セント未満の「マイクロペイメント(微小額決済)」が実用的に行えるようになるとされています。
技術的背景となるx402プロトコル
決済の基盤となるx402は、インターネット標準であるHTTPステータスコードの「HTTP 402(Payment Required:支払いが必要)」をベースにしたオープンな決済プロトコルです。HTTP 402は1990年代のHTTP策定当初から将来の決済用として予約されていましたが、これまで広く使われることはありませんでした。
Cloudflareは、暗号資産取引所のCoinbaseなど25以上の業界リーダーとともにx402 Foundationを設立し、このプロトコルの普及を進めています。x402を利用することで、AIエージェントやクライアントは、アカウント作成やセッションの維持をすることなく、標準的なHTTPリクエストの枠組みの中でプログラムを介して直接決済を行うことができます。
AIエージェントの台頭とウェブビジネスモデルの変革
Cloudflareがこのゲートウェイを導入する背景には、インターネットの主要な利用者が人間からAIエージェントへとシフトしている現状があります。AIエージェントは広告をクリックせず、多数のツールに対して月額のサブスクリプションを個別に契約することもありません。必要なデータやAPIを1回だけ呼び出し、タスクを完了して去っていくという行動特性を持っています。
従来のコンテンツと人間のアテンション(広告やサブスクリプション)を交換するビジネスモデルが通用しなくなる中、リクエスト単位やトークン単位で課金する従量課金モデルへの移行が急務となっています。Monetization Gatewayは、このマシン間経済(Machine-to-Machine Commerce)のインフラとしての役割を担うとされています。
ポイント
- Cloudflareがデジタル資産に課金できるMonetization Gatewayのウェイトリストを公開しました。
- 決済は、HTTP 402コードを活用したオープンプロトコルであるx402を介し、ステーブルコインで処理されます。
- 開発者は複雑な決済システムを構築することなく、エッジ側で支払いの検証や執行を完結させることができます。
- 広告やサブスクリプションに依存しない、AIエージェント向けの従量課金という新たなウェブビジネスモデルの提示として注目されます。
- 元SyndicateのWill Papper氏が、Agent Paymentsのプロダクトマネージャーとしてこのプロジェクトを主導します。