EVM互換(イーサリアムのスマートコントラクトを実行できる互換性)のレイヤー1ブロックチェーンであるKaia(カイア)は、韓国最大の地方銀行であるBNK釜山銀行が推進したブロックチェーン基盤の決済・精算インフラに関する概念実証(PoC)が完了したことを発表しました。この実証は、ステーブルコイン基盤のデジタル通貨インフラ技術アライアンスであるK-STARの取り組みとして実施され、Kaiaチームもメンバー企業として参加しました。実際の金融環境における運用可能性の検証に加え、利用先の制限や有効期限などを通貨自体に組み込むプログラマブルマネー(プログラム可能な通貨)の実現可能性も確認されています。
政策型デジタル地域通貨とプログラマブルマネーの実装
今回の実証実験では、ブロックチェーンを基盤とするデジタル地域通貨について、発行、流通、決済、精算までの一連のプロセスを実装し、実際の金融環境における運用可能性が検証されました。
特に、地域通貨の利用が活発な釜山地域を想定し、利用先や有効期限などの政策条件を通貨自体に組み込んだ「政策型デジタル地域通貨」モデルの検証が行われました。これにより、単なるトークンの送金だけでなく、利用先の制限、有効期限の自動失効、利用先ごとに異なる精算など、政策目的や条件に応じた柔軟な制御を行うプログラマブルマネーの実現可能性が確認されました。この技術は、将来的に政策資金、デジタルバウチャー、中央銀行デジタル通貨(CBDC)、および韓国ウォン建てステーブルコインを活用したサービスへの応用が期待されています。
実環境を想定した高負荷テストで成功率100%を記録
システムの性能検証においては、BNK釜山銀行の実データに基づき、通常時、混雑時、最大負荷時、複合負荷時の4つのシナリオによるテストと、24時間連続テストが実施されました。
その結果、すべての測定区間において取引の成功率100%、1秒以内の処理性能を記録し、実用に耐えうる高い安定性が実証されました。さらに、低コストな取引、ガス代(取引手数料)を運営側などが肩代わりするスポンサー方式によるユーザー体験の向上、およびリアルタイムでの取引モニタリング機能の有効性も確認されました。
アジア展開と日本市場への示唆
今回のプロジェクトは、BNK釜山銀行がデジタル通貨モデルの設計と決済機能の検証を担当し、Kaiaがメインネット環境を提供したほか、アンラボ・ブロックチェーン・カンパニー、オープンアセット、ラムダ256といった企業が協力して技術実装や運用支援を行いました。
Kaiaは、クレイトン(Klaytn)とフィンシア(Finschia)の統合により誕生したブロックチェーンであり、カカオ(Kakao)およびLINEの両エコシステムを基盤としています。日本国内でも自治体ポイントや地域通貨、ステーブルコインを活用した決済インフラの議論が活発化する中、今回の実証は、決済から精算までの自動化を可能にする先駆的な事例になるとされています。また、日韓の姉妹都市交流を背景とした、地域通貨によるクロスボーダー決済(国境を越えた決済)への展開可能性も視野に入れられています。
ポイント
- 韓国最大の地方銀行であるBNK釜山銀行が主導するブロックチェーン基盤の決済・精算インフラ概念実証に、Kaiaがメインネット提供企業として参加し、実証が完了しました。
- 通貨自体に利用制限や有効期限などの条件を組み込む「プログラマブルマネー」の検証が行われ、政策型デジタル地域通貨やデジタルバウチャーへの応用可能性が確認されました。
- 実データを用いた高負荷および24時間連続のテストにおいて、取引成功率100%と1秒以内の処理速度を達成し、高い実用性と安定性が示されました。
- 日本国内における地域通貨やステーブルコイン決済インフラの構築議論、さらには日韓間の姉妹都市交流を活かしたクロスボーダー決済の創出に向けた重要な先行事例として注目されます。