イーサリアムの「ネイティブUTXO」提案に対し、Cardano創設者が技術の模倣と批判

イーサリアム財団の研究者が、ネットワークのデータ容量肥大化を抑制するための新たな「ネイティブUTXO」導入提案を公開しました。これに対し、Cardanoの創設者であるチャールズ・ホスキンソン氏は、イーサリアムがCardanoの主要技術である「EUTXO」モデルをクレジットなしで模倣していると強く批判しています。本件は、スマートコントラクトプラットフォームにおけるスケーラビリティの解決策と、オープンソース開発における技術的な帰属を巡る議論として注目されています。

イーサリアムの「ネイティブUTXO」提案とステート肥大化の抑制

イーサリアムの「ネイティブUTXO」提案に対し、Cardano創設者が技術の模倣と批判

イーサリアム財団の研究者であるトニ・ヴァールシュテッター氏が、「Native UTXOs on Ethereum」と題するリサーチプロポーザルを公開しました。

現在のイーサリアムはアカウントベースのアーキテクチャを採用しており、新しいアドレスへの送金が発生するたびに恒久的なステート(状態データ)が作成されます。これがネットワーク全体のデータ肥大化を招き、スケーラビリティの課題となっています。

これに対し、新たに公開された提案では、ビットコインのUTXO(未使用トランザクション出力)モデルを応用した「ワンショット(使い捨て)」決済を導入することが提案されています。送金履歴からデータの存在を証明し、アクティブなデータベースには「使用済みか否か」を示す1ビットのマーカーのみを記録することで、単純な送金業務における恒久的なステートフットプリントを約99.8%削減できるとされています。具体的には、新規アカウントエントリに約100〜150バイト必要なのに対し、このネイティブUTXOモデルでは約0.3バイト未満に抑えられる見込みです。

Cardano創設者ホスキンソン氏による「模倣」との批判

この提案に対し、Cardanoの創設者であるチャールズ・ホスキンソン氏は、イーサリアムがCardanoの最大のイノベーションである「Extended UTXO(EUTXO)」モデルを秘密裏にコピーしていると主張しました。

ホスキンソン氏は自身のSNSアカウントなどで、Cardanoが10年以上にわたり開発・実装してきたコンセプトを、イーサリアムの開発者たちがクレジット(謝辞)を与えることなく再現しようとしていると批判しています。同氏によると、イーサリアムの開発コミュニティ内では「Cardanoに言及することはタブーとされている」とし、意図的にCardanoの技術的貢献が無視されていると主張しています。

なお、ヴァールシュテッター氏の提案書ではCardanoへの言及はなく、ビットコインの使い捨て決済モデルから着想を得たものと説明されています。

今後の展望と課題

本提案は、現在イーサリアム改善提案として検討されている「EIP-8141(Frame Transactions)」を前提としています。イーサリアムのアカウントベースの仕組みを維持しつつ、オプションとしてUTXO決済を統合するハイブリッドなアプローチです。

しかし、この提案は現在リサーチおよびコミュニティでの議論の段階にあり、イーサリアムのメインネットへの実装スケジュールは決定していません。プロトコルレベルの深い技術的トレードオフや、既存の分散型金融(DeFi)アプリケーションとの互換性などの課題について、今後も議論が続けられると見られます。

ポイント

  • イーサリアム財団の研究者が、ステート肥大化を約99.8%削減するための「ネイティブUTXO」導入提案を公開しました。
  • Cardano創設者のチャールズ・ホスキンソン氏は、この提案がCardanoの「EUTXO」モデルをクレジットなしで模倣していると強く批判しています。
  • イーサリアム側の提案では、Cardanoではなくビットコインの使い捨て決済モデルをインスピレーションの源泉として挙げています。
  • この提案は、イーサリアムのアカウントベース型アーキテクチャを維持しつつ、オプションでUTXOを統合するハイブリッドな設計を目指しています。
  • 現時点では提案・議論の段階であり、メインネットへの具体的な実装スケジュールは未定です。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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