Bull Bitcoinがフランス最高裁に提訴、EUの暗号資産税務報告ルール「DAC8」の国内施行政令の無効化を求める

ノンカストディアル型のビットコイン取引所であるBull Bitcoinが、欧州連合(EU)の暗号資産税務報告ルール「DAC8」を国内に導入するフランス政府の政令の無効化を求め、フランスの最高行政裁判所であるコンセイユ・デタ(国務院)に申し立てを行いました。同社は、このルールが最大1億3500万人のヨーロッパの暗号資産保有者に対して、過剰な監視や物理的なリスクをもたらす可能性があると主張しています。この動きは、Web3業界におけるユーザープライバシーの保護と政府による規制強化のバランスを巡る議論において、重要な先例となる可能性があります。

提訴の背景と「DAC8」の概要

Bull Bitcoinがフランス最高裁に提訴、EUの暗号資産税務報告ルール「DAC8」の国内施行政令の無効化を求める

欧州連合(EU)が導入を進める「DAC8(行政協力指令第8次改正)」は、暗号資産サービスプロバイダー(CASP)に対して顧客データや取引情報の収集および税務当局への報告を義務付ける税務報告ルールです。対象となる情報には、顧客の氏名、住所、生年月日、納税者番号などの個人データのほか、自己管理型(セルフカストディ)ウォレットへの送金を含む取引内容が含まれるとされています。収集されたデータはEU加盟27カ国の間で自動的に共有される仕組みとなっており、フランスでは2025年12月19日に公布された政令(Decree No. 2025-1276)によって国内法への導入が進められていました。最初の報告対象期間は2026年暦年とされ、2027年9月に最初のデータ共有が行われる予定となっています。

Bull Bitcoinが主張するユーザーへのリスクと法的根拠

Bull Bitcoinは、この規制が犯罪の疑いがない一般ユーザーの情報まで包括的に紐付けるため、極めて機微な財務データが集約された「巨大な国際的データ貯蔵庫(ハニーポット)」を作り出すことになると指摘しています。このようなデータが流出した場合、暗号資産保有者やその家族が強盗、脅迫、誘拐などの物理的な危害(物理的リスク)に遭う危険性が高まるため、同社は規制が「著しく不均衡」であり基本的人権を脅かすものであると主張しています。

また、同社は2022年に欧州司法裁判所がプライバシー侵害を理由に同様の指令の一部を無効化した判例を挙げ、今回の無差別な報告義務も同様に無効化されるべきであるとしています。必要であれば、欧州司法裁判所やフランス憲法評議会まで争う姿勢を示しています。

ポイント

  • Bull Bitcoinが、EUの暗号資産税務報告ルール「DAC8」を導入するフランス政府の国内政令の無効化を求めて最高行政裁判所に提訴した点で注目されます。
  • DAC8の義務付ける広範なデータ収集が、暗号資産を自己管理するユーザーのプライバシーを脅かすだけでなく、データ流出による強盗や誘拐といった物理的リスクを誘発する可能性があると指摘されている点で注目されます。
  • 過去に欧州司法裁判所がプライバシー侵害を理由に一部の指令を無効化した判例を踏まえ、今回の訴訟が今後の欧州における暗号資産規制の法的妥当性を問う重要なマイルストーンになる可能性がある点で注目されます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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