イーサリアムの共同創設者であるヴィタリック・ブテリン氏は、欧州連合(EU)で議論されている「チャットコントロール」法案の復活が、すべての人のサイバーセキュリティおよび暗号資産(仮想通貨)のセキュリティを脅かすと警告しました。欧州議会ではメッセージスキャンを可能にする暫定的な法案の復活に向けた投票が予定されています。この法案が可決された場合、Web3プロジェクトや暗号化通信の安全性に大きな影響を与える可能性があるとして、業界内で懸念が高まっています。
欧州議会で「チャットコントロール」法案の復活に向けた投票へ
EUのプライバシールール(ePrivacy規則)では原則として企業がユーザーのプライベートなメッセージを閲覧することを禁止していますが、児童性的虐待コンテンツ(CSAM)の検出を目的に、プラットフォーム企業がメッセージをスキャンすることを認める暫定的な適用除外措置が存在していました。この措置は2026年4月に失効していましたが、欧州議会は7月7日に緊急手続きを適用することを承認し、7月9日に法案の復活を問う実質的な本投票を行うことを決定したとされています。法案の復活を阻止するためには絶対多数である361票の反対票が必要とされており、通常よりも高いハードルが課されていると報じられています。
ヴィタリック・ブテリン氏による警告と技術的背景
イーサリアムの共同創設者であるヴィタリック・ブテリン氏は、このチャットコントロール法案の復活に対し、暗号化通信にシステム的な「バックドア(不正な侵入経路)」を設けることは、社会の安全を高めるどころか、すべての人々のセキュリティを脆弱にするだけであると強く警告しています。同氏は、法執行機関向けに作られたバックドアは不可避的にハッキング可能であり、プライベートな通信のプライバシーと安全性を根本から損なうと主張しています。また、政府関係者らが自らをこの規制の対象から除外しようとしているとされる動きについても、法の整合性の観点から疑問を呈しています。
Web3業界および暗号資産セクターへの影響
この法案が最終的に再導入された場合、Web3業界のビジネスパーソンやプロジェクトにとっては以下のような影響が生じる可能性があります。
まず、ウォレットベースのメッセージング機能や分散型ソーシャル機能を提供するWeb3プロジェクトは、EUの規制に準拠するためにコンテンツ監視システムを導入するか、EU圏内のユーザーに対するサービス提供を停止せざるを得なくなる可能性があると指摘されています。
さらに、暗号業界の一部では、同様の法的論理が将来的にブロックチェーンのトランザクションデータやスマートコントラクトのインフラ監視にも適用されるのではないかという懸念が生じています。一方で、こうしたプライバシー規制の強化が、デフォルトでプライバシーを重視する分散型Web3プラットフォームへのユーザー移行を促す契機になるという見方もあります。
ポイント
- 欧州議会がEUの「チャットコントロール」関連法案の復活に向け、2026年7月9日に本投票を行うことを決定したとされています。
- イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏は、暗号化通信へのバックドア設置がすべての人のサイバーセキュリティおよび暗号資産の安全性を脅かすと警告しています。
- 法案が再導入された場合、ウォレットベースのメッセージングや分散型ソーシャルを提供するWeb3プロジェクトは、監視システムの導入やEUユーザー向けサービスの停止を迫られる可能性があります。
- 同様の監視ルールが将来的にブロックチェーンのトランザクションやスマートコントラクトインフラに適用される懸念も指摘されており、Web3業界にとって規制動向が注目されます。