米暗号資産マイニング大手のMARA Holdingsは、テキサス州マタゴルダ郡にある1,200エーカー以上の土地を取得し、ビットコインマイニングおよびAI(人工知能)コンピューティング向けのデジタルインフラ・キャンパスを開発することで合意しました。この取引はプロジェクトの進捗に応じたマイルストーン(段階的な目標)ベースの支払いで構成され、総額は最大6億ドルに達する見込みです。元々は約70億ドル規模のグリーン燃料(環境負荷の低い合成燃料)工場の建設が予定されていた土地を、需要が急増するデジタルインフラ向けに転用する形となります。急成長するAI分野とマイニングを統合し、柔軟な電力活用を目指すMARAの戦略的な動きとして注目されます。
合意の概要と段階的な買収スキーム
MARA Holdings(以下、MARA)は、持続可能燃料の開発企業であるHIF USA(HIF Globalの米国子会社)との間で、テキサス州の土地買収に関する正式契約を締結しました。買収対象はヒューストンの南西約90マイル(約145キロメートル)に位置する1,200エーカー(約486ヘクタール)以上の土地です。
本取引は一括での即時購入ではなく、規制当局の承認、土地取得、電力供給許可、サードパーティのデータセンターテナントとの賃貸契約締結など、特定の開発目標の達成に応じて最大6億ドルが支払われる仕組みとなっています。
この土地は、当初テキサス州知事の支援のもとで約70億ドル規模のグリーン燃料工場の建設が予定されていた場所でした。しかし、HIF USAがコンピューティング向けの電力供給へと方針を転換したことで、今回の取引が実現しました。データセンターのテナントが決定した後、HIF USAは少数株式を維持し、プロジェクトに継続して参画する予定です。
電力の確保とAI・マイニングのインフラ拡張
今回の拠点開発により、MARAはテキサス州の送電網運営組織であるERCOT(テキサス電気信頼性評議会)の承認を前提として、2027年10月までに初期1ギガワット(GW)、2028年4月までに最大2ギガワットの送電網容量へのアクセスを確保できる見込みです。段階的なキャンパスの建設は、規制当局の承認を経て2026年に開始される計画となっています。
MARAは、既存の提携先であるStarwood Digital Venturesと共同でこのキャンパスを開発し、設計、建設、および高パフォーマンスコンピューティング(HPC)を行うテナントの誘致を進めます。今回のテキサス州のサイトがフル稼働し、現在進行中であるオハイオ州のガス火力発電所(Long Ridge Energy & Power)の買収が完了すれば、MARAのポートフォリオ全体の電力容量は約4.8ギガワットに達し、同社のデジタルインフラ開発能力は大幅に強化されることになります。
テキサス州ではデータセンターの急増に伴い電力需要が逼迫していますが、ビットコインマイニングは必要に応じて数秒で稼働を停止できる柔軟性を備えています。これにより、電力需要が高まる時期にはAIなどの高パフォーマンスコンピューティングへ電力を融通し、マイニング価格の状況に応じて稼働を調整する柔軟な電力管理が可能になるとされています。
ポイント
- ビットコインマイニング大手のMARAが、テキサス州で最大2GW規模の電力を確保できる1,200エーカー以上の土地買収に合意した点で注目されます。
- 取引は一括購入ではなく、プロジェクトの進捗に応じて最大6億ドルを支払う段階的なスキームが採用されている点が特徴です。
- 当初は約70億ドル規模のグリーン燃料工場が計画されていた土地を、需要が急増するAIやビットコインマイニング向けのデジタルインフラに転用する形で合意に至った点が業界のトレンドを反映しています。
- 提携先であるStarwood Digital Venturesと共同で開発を進め、完了時にはMARA全体の電力容量が約4.8GWに達し、インフラ開発企業としての地位を強化する可能性があります。
- 発表を受けてMARAの株価が一時約14%上昇するなど、市場や投資家から高い関心を集めている点が示されています。