ビットバンクがAIエージェント向けのMCPサーバとCLIを公開、実証実験を開始

暗号資産取引所を運営するビットバンクは、AIエージェント向けのMCPサーバおよびCLIのベータ版を公開し、実証実験を開始しました。今回の取り組みは、AIエージェントが取引所のマーケットデータや取引機能を利用する新たな取引体験を検証するためのものです。生成AIの進化に伴い、金融サービスのユーザー体験が従来の画面操作からAIによる支援へと移行しつつある中、将来的な自律取引の実現に向けた先進的な一歩として注目されます。

提供されるツールの詳細と想定されるユースケース

ビットバンクがAIエージェント向けのMCPサーバとCLIを公開、実証実験を開始

今回公開されたMCPサーバとCLIは、利用者のローカル環境で動作するもので、オープンソースソフトウェアとしてGitHub上で公開されています。具体的には以下の2つのツールが提供されています。

MCPサーバである「bitbank-lab-mcp」は、MCP対応のAIチャットツールである「Claude Desktop」などの上での利用を想定しています。なお、MCPはAIアプリケーションが外部のデータソースやツールと接続するための共通プロトコルであり、Claude DesktopはAnthropic社が提供するデスクトップアプリとされています。利用者は自然言語を通じて、市場データの取得や分析、資産状況の確認、取引操作などをチャット上で行うことができます。公開データの取得にはAPIキーが不要ですが、APIキーを連携させることで資産残高や約定履歴の確認も可能となります。また、注文や注文キャンセルを行う際は、AIが提示した内容に対して利用者がチャット画面上で実行ボタンを押す確認手順が設けられており、出金機能は実装されていません。

一方、CLIである「bitbank-lab-cli」は、「Claude Code」や「Codex」、「Cursor」といったAIを活用した開発環境での利用を想定しています。Claude Codeは、自然言語の指示でコードの生成や編集、コマンド実行などを行えるAIコーディング支援ツールとされています。このCLIを使用することで、マーケットデータの取得や、利用者独自の分析、仮説検証を行うことができます。将来的には自動売買エージェントの構築への活用も検証する方針です。CLI上では、公開マーケットデータの取得、資産や注文情報の参照、発注や注文キャンセル、ライブ価格を利用したペーパートレードなどの機能が提供されます。取引コマンドは初期設定で実際の注文を行わないドライランとなっており、注文実行には追加の確認操作が必要となります。

AIエージェント活用に向けたロードマップと背景

ビットバンクが本取り組みを開始した背景には、生成AIの進化によって金融サービスのユーザー体験が変化しつつある現状があります。人が直接画面を操作するスタイルから、AIが利用者の目的を理解して判断や行動を支援するスタイルへと移行が進んでいるとされています。

実際に、Adobeの調査によると、2026年第1四半期における米国小売サイトへのAI経由トラフィックは前年同期比で393%増加しています。また、Anthropic社によると、MCPの公開から約1年で1万を超える公開MCPサーバが稼働しているとのことで、AIと外部サービスの連携は急速に拡大しています。

ビットバンクは今後、ローカル環境での検証と並行して、リモートMCPサーバでの提供も視野に入れています。開発ステップとしては、まず公開データとの連携から構築を進め、段階的に利用者の資産情報や取引履歴などのプライベートデータ、取引機能、チャット上での動的なUIを通じた確認・操作体験へと拡張する予定です。将来的には、利用者が設定した運用方針やリスク許容度に基づき、AIエージェントがマーケット分析、ポートフォリオ管理、リスク管理、取引判断、注文操作までの一連のプロセスを自律的に担う取引体験の実現を目指すとしています。

なお、ビットバンクはSBIホールディングスの完全子会社となることに向け、基本合意書および株式譲渡契約を締結したことを発表しています。株式譲渡は8頃、取引完了は10月頃を予定しており、取引完了後も暗号資産取引所は従来どおりサービスを提供するとしています。SBIグループ傘下への移行を控える中、このようなAI技術を活用した先進的な取り組みが今後どのように発展していくかも注目されます。

ポイント

  • ビットバンクがAIエージェント向けのMCPサーバとCLIのベータ版を公開し、実証実験を開始しました。
  • 自然言語で市場データの取得や取引操作が可能なツールと、開発環境向けのツールがオープンソースとして提供されます。
  • 安全性を考慮し、実際の注文時には利用者の確認操作を必要とする設計や、実際の注文を行わないドライラン機能が導入されています。
  • 金融サービスのユーザー体験が人が操作する形からAIが支援する形へ変化するトレンドに対応する、国内取引所による先進的な試みとして注目されます。
  • 将来的には、利用者の運用方針に基づき、AIエージェントが分析から注文操作まで自律的に行う取引体験の実現を目指しています。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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