ロシアが仮想通貨取引の監視と報告義務の強化を計画、9月施行の可能性

ロシア政府は、外国貿易に関わる大口の仮想通貨取引を自動監視し、一定額以上の取引に詳細な個人情報の届け出を義務付ける法案改正を進めています。この法改正案が成立した場合、2026年9月1日にも施行される見通しです。この動きは、同国が予定している中央銀行デジタル通貨であるデジタルルーブルの導入を控えるなか、資本流出の防止や通貨政策の実効性を高める狙いがあると見られています。対外決済の手段として仮想通貨の活用を認める一方で、国内の監視体制を急ピッチで整備するロシアの動向は、Web3業界のビジネスパーソンにとっても注視すべき動きです。

仮想通貨取引に対する新たな監視と報告義務の導入計画

ロシアが仮想通貨取引の監視と報告義務の強化を計画、9月施行の可能性

ロシアの金融監視庁であるロスフィンモニトリングが、外国貿易に関わる仮想通貨取引を監視する権限を得る方針であることが分かりました。デジタル通貨・デジタル権利法への改正案に基づき、100万ルーブル(約212万円)を超える取引情報が自動的に同庁へ送付される仕組みが導入される予定です。

さらに、改正案の起草者は、6万ルーブル(約12.7万円)を超える仮想通貨取引についても、デジタル預託機関への情報提供を義務化するよう提案しています。この届け出対象には、支払人の氏名、住所、生年月日、および法人情報が含まれるとされています。

また、今回の改正案では、ロシア中央銀行が特定の仮想通貨取引を禁止できる権限の拡大も提案されています。現行制度では非信用系金融機関の取引のみが対象となっていますが、改正案では銀行も対象に加える方向で検討されているとみられます。ロシア中央銀行第一副総裁のヴラジーミル・チスチュヒン氏によれば、法案が成立した場合、これらの新規則は9月1日付で施行される可能性があります。

仮想通貨規制法案の修正と対外決済の解禁

ロシアでは規制強化に向けた法整備が急速に進んでいます。ロシア議会下院の金融市場委員会は、2026年7月8日に仮想通貨規制法案の修正版を第2読会(法案を審議する段階の一つ)向けに承認しました。この修正版では、当初案にあったウォレットアドレス(仮想通貨を送受信するための口座番号のようなもの)の申告義務が撤廃され、残高と取引量の開示のみに変更されました。また、非適格投資家(専門的な知識や経験を持たない個人投資家)の年間購入上限は30万ルーブルに設定される見込みです。

一方で、ロシアは2026年7月1日に、ビットコインとステーブルコイン(米ドルなどの法定通貨と価値が連動するように設計された仮想通貨)を対外貿易決済に正式に解禁しました。ただし、利用は認可された8つのプラットフォーム経由に限定され、中国、インド、トルコとの取引が主な対象となっています。国内決済においては、引き続きルーブル専用とされています。

規制強化の背景にあるデジタルルーブルと国際基準への対応

今回の規制強化の動きは、2026年9月から10月にかけて予定されているデジタルルーブル(ロシア中央銀行が開発を進める中央銀行デジタル通貨、CBDC)の導入を控えたタイミングで進められています。金融市場の専門家は、仮想通貨への資金流入を可視化することで、自国からの資本流出を防ぎ、国の通貨政策の実効性を高める狙いがあるとの見方を示しています。

また、マネーロンダリング防止などの国際基準を策定する機関であるFATF(金融活動作業部会)の基準に対応することを意識した規制強化であるとの指摘もあります。ロシア国内では、7月8日に仮想通貨の違法な取引に対して最長7年の禁錮刑を科す法案が国家院(下院)で第1読会を通過しており、法的な罰則強化も同時に進められています。

ポイント

  • ロシアは100万ルーブル超の外国貿易仮想通貨取引を自動監視し、6万ルーブル超の取引に個人情報の届け出を義務付ける法改正を検討しています。
  • 新しい規則は、法案が成立すれば2026年9月1日付で施行される可能性があります。
  • 仮想通貨規制法案の修正版では、ウォレットアドレスの申告義務が撤廃され、残高と取引量の開示のみに変更されました。
  • 2026年7月1日付で対外貿易決済における仮想通貨の利用が正式に解禁される一方で、国内決済はルーブル専用に制限されています。
  • 規制強化の背景には、同年9月から10月に予定されているデジタルルーブルの導入を控え、資本流出を防ぎ通貨政策の実効性を高める狙いがあると見られています。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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