トークン・ストリーミングおよびベスティング(トークンの権利確定)インフラを提供するSablier Labsは、製品の積極的な開発を停止し、2028年6月までのメンテナンスモードに移行することを発表しました。共同創業者兼CEOのPaul Berg氏によると、既存のストリームやベスティング計画などはスマートコントラクトがオンチェーンかつパーミッションレス(管理者の許可を必要としない仕組み)で稼働しているため影響を受けないとされています。この決定は、市場環境の悪化に伴う顧客のトークンローンチ延期や、AI支援コーディングの普及による競合の増加が原因とされています。
開発停止とメンテナンスモード移行の背景
Sablier Labsの決定は、2026年第1四半期における利用率と収益の急激な減少が主な原因とされています。同社はこの四半期に過去最多の機能をリリースしたものの、収益の改善にはつながりませんでした。
Berg氏はその要因として、暗号資産市場の悪化により顧客がトークンローンチを延期したこと、およびAI支援コーディングの普及によって競合他社がSablierの製品をより低コストで複製(コピー)できるようになったことを挙げています。また、同氏はオンチェーンでのトークン配布やマネーストリーミングの分野において、ベンチャー規模(急成長を前提とするスタートアップ規模)のビジネスモデルを維持することは困難であり、市場規模が事業継続を正当化するほど大きくないと指摘しています。
既存ユーザーへの影響と今後の制限
既存のストリーム、ベスティング計画、およびエアドロップ(トークンの無料配布)には影響がないとされています。Sablierのスマートコントラクトはオンチェーン上で自律的に稼働しており、運営企業の存続状況に依存しないためです。
一方で、2026年7月13日以降、公式インターフェースにおいては制限が導入されたと発表されています。2028年6月を超える終了日が設定された新規のベスティングストリームやエアドロップの受け入れが停止され、期限の定めがない支払いストリーム(open-ended payment streams)の新規作成は完全にブロックされます。
スマートコントラクトのオープンソース化を前倒し
開発停止に伴い、Sablierは主要なEVM(イーサリアム仮想マシン)スマートコントラクトのライセンス移行を大幅に前倒ししたとされています。
当初は2029年7月1日に予定されていた「Business Source License 1.1」から、完全なオープンソースである「GPLライセンス」への移行を、2026年7月13日付で即時実施しました。これにより、コミュニティは制限なくスマートコントラクトをフォーク(分岐・複製)し、修正やデプロイ(展開)を行うことが可能になるとされています。
Sablierのプロトコルは、これまでに34万5,000以上のイーサリアムアドレスに利用され、30以上のEVMチェーンやSolanaなどで稼働してきた実績があるとされています。
ポイント
- Sablier Labsが製品の積極開発を停止し、2028年6月までのメンテナンスモードへ移行することを発表しました。
- 既存のオンチェーンスマートコントラクトは稼働し続けるため、既存のベスティングやエアドロップへは影響しないとされています。
- 開発停止の要因として、市場悪化による顧客のトークンローンチ延期に加え、AI支援コーディングの普及による競合の低コストでの台頭が挙げられています。
- 主要なスマートコントラクトのライセンスをGPL(オープンソース)へ即時移行し、コミュニティによるフォークや修正を無制限に許可したとされています。
- トークン配布やマネーストリーミング分野における、ベンチャー規模のビジネス展開の難しさが浮き彫りになった事例として注目されます。