日本の大手クレジットカード会社であるJCBは、米ドル建てステーブルコイン「USDC」を手掛ける米Circle(サークル)の関連会社と、ステーブルコイン活用に向けた協業検討の基本合意書(MOU)を締結しました。本合意では、国をまたぐ資金移動の効率化と、日本国内の加盟店における訪日外国人向けの店頭決済の2つが主な検討領域として位置づけられています。伝統的な決済ネットワークを持つJCBがグローバルなステーブルコインインフラと連携することで、送金コストの低減や新たな決済体験の創出を目指します。
クロスボーダー送金の効率化と国内店頭決済の検証
JCBとCircleの関連会社が締結した基本合意書(MOU)に基づき、両社は主に「クロスボーダー・トレジャリーおよび決済」と「日本国内加盟店における決済」の2つの領域で協業の可能性を検討します。
国際的な資金移動(クロスボーダー決済)においては、初期段階としてJCBの社内資金移動を対象とした実証実験(PoC)を検討しています。これにより、決済の効率化や送金コストの低減を図るとともに、将来的なより広範なクロスボーダー決済への適用可能性を検証します。
一方、日本国内の加盟店における決済では、訪日外国人の利用を想定した店頭決済方法を探ります。JCBは年内(2026年内)にも、訪日客が多い都内の1店舗でUSDCを使った店頭決済の検証を開始する計画です。これにより、訪日客の両替の手間を解消し、為替手数料の低減や利便性の向上を目指します。さらに、複数のブロックチェーン間の相互運用性や、シームレスな決済体験を支える技術についても検討が進められる予定です。
JCBのブロックチェーン・ステーブルコインへの取り組み
JCBは、以前からブロックチェーン技術やステーブルコインの活用に高い関心を示し、さまざまな実証実験を重ねてきました。
2021年には、異なるブロックチェーン間の相互接続を見据えた実証実験を開始していました。また、ステーブルコイン決済に関しては、2026年1月にデジタルガレージおよびりそなホールディングスと協業を開始。同年2月にはマイナウォレットも含めた4社で、東京都渋谷区の店舗においてUSDCと円建てステーブルコイン「JPYC」を使用した店頭決済の実証実験を1週間実施しています。
今回のCircle関連会社とのMOU締結は、これまでの技術検証の成果をグローバルな決済インフラと結びつけ、実用化に向けた取り組みをさらに一歩進めるものと位置づけられます。
ポイント
- JCBが米ドル建てステーブルコイン「USDC」を発行するCircleの関連会社と協業検討の基本合意書(MOU)を締結しました。
- クロスボーダー決済の高度化として、初期段階ではJCBの社内資金移動を対象とした実証実験(PoC)を検討し、送金コストの低減や効率化を検証します。
- 国内決済では、訪日客の利便性向上を目指し、年内(2026年内)にも都内の1店舗でUSDCを用いた店頭決済の検証を開始し、他加盟店への拡大を検討する計画です。
- 伝統的な大手決済企業がグローバルなステーブルコインインフラと直接連携することで、Web3技術の社会実装や実用化が加速する点で注目されます。