米暗号資産取引所大手のコインベースは、有料会員制度「コインベースワン」の会員向けUSDC報酬利率を3.75%に引き上げたことを明らかにしました。この発表は、ステーブルコイン報酬の制限を盛り込んでいた米クラリティー法案の審議入り手続きが米上院で否決された直後に行われました。預金類似商品としてステーブルコイン報酬を警戒する銀行業界や法案を頓挫させた議員らに対し、規制導入が阻止された直後に利回りを引き上げた動きは、有識者から銀行界への皮肉と受け止められています。
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有料会員向けUSDC報酬の引き上げと提供条件
コインベースの発表によると、有料会員制度であるコインベースワンの会員を対象に、ステーブルコインUSDCの保有に対する報酬利率が3.75%に引き上げられました。
新利率による報酬は保有残高に応じて日割りで付与され、最低1ドル相当のUSDCを保有していれば付与対象となります。コインベースワンは、月額または年額の会費を支払うことで取引手数料の無料枠拡大などの特典を受けられる有料サービスであり、今回のUSDC報酬利率の引き上げも同会員向けの特典強化の一環として位置付けられています。
クラリティー法案の審議入り否決と銀行業界への影響
今回の報酬引き上げの背景には、米議会上院における規制法案の否決があります。暗号資産に関する連邦規制の明確化を目指していたクラリティー法案には、預金型商品に類似したステーブルコイン報酬を制限する規定が含まれていましたが、審議入りに必要な60票に届かず、49対50で否決されました。
採決では、トランプ大統領一族の暗号資産事業に関する倫理規定の緩さを理由に民主党側が反対したほか、共和党からも4人の議員が造反しました。このうちジョシュ・ホーリー上院議員とジェリー・モラン上院議員の反対は、預金流出などを警戒してステーブルコイン報酬への厳格な規制を求めていた地方銀行業界への配慮が要因とされています。銀行業界団体は、法案に盛り込まれていた緊急停止措置を不十分であるとして批判していました。
こうした規制強化の試みが頓挫した直後に報酬が引き上げられたことから、有識者は今回の決定について、法案審議を止めた民主党および報酬規制を求めていた銀行界に対する皮肉であると指摘しています。なお、法案に反対票を投じた民主党のジリブランド上院議員ら7人は超党派協議の継続を表明していますが、採決の不成立を受けて市場の関心は証券取引委員会(SEC)や商品先物取引委員会(CFTC)による規則整備へ移行しつつあります。
ポイント
- コインベースが有料会員「コインベースワン」向けに、USDCステーブルコインの報酬利率を3.75%へ引き上げました。
- 付与条件は保有残高に応じた日割り計算であり、最低1ドル相当のUSDC保有から対象となります。
- ステーブルコイン報酬の制限を盛り込んだ米クラリティー法案が、上院で49対50となり審議入りが否決された直後の発表でした。
- ステーブルコイン報酬を預金類似機能として警戒し規制強化を求めていた銀行界に対し、有識者は今回の即座の引き上げを皮肉的な動きと分析しています。
- 上院での法案否決を受け、一部議員が超党派協議の継続を表明する一方、規制の焦点はSECやCFTCの規則策定へシフトしています。
