サスメドのブロックチェーン治験システムを用いた医薬品が承認を取得。モニタリング工数は45.9%減、新薬開発の生産性向上を目指す方針

デジタル医療の研究開発を手がけるサスメドは、自社のブロックチェーン技術を活用した臨床試験システムを用いた治験を経て、医薬品が国内で製造販売承認を取得したと9月16日に発表しました。ヴィアトリス製薬が承認を取得した医薬品の第3相臨床試験に同社のシステムが採用されたもので、ブロックチェーン技術を用いた企業治験の結果に基づく医薬品承認は世界初とされています。改ざん耐性を持つブロックチェーンによって治験データの信頼性を担保し、医療機関における照合作業などの負担軽減を実現した実用例となります。

監修:ブロックチェーン総研編集部

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規制のサンドボックスを経て実現した治験データのブロックチェーン連携

今回承認された医薬品は、ヴィアトリス製薬の「ウエキクス錠5mg/20mg(一般名:ピトリサント塩酸塩)」です。効能・効果はナルコレプシーと、持続性陽圧呼吸(CPAP)療法などによる気道閉塞の治療を実施中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に伴う日中の過度の眠気とされています。同薬の開発において、アキュリスファーマが実施した国内第3相臨床試験にサスメドの臨床試験システム「SUSMED SourceDataSync(SUSMED SDS)」が採用されました。サスメドは2022年11月にナルコレプシー対象、2023年1月に閉塞性睡眠時無呼吸症候群に伴う日中の過度の眠気対象の試験開始を発表していました。

SUSMED SDSは、医療機関で取得する医療データと、患者ごとの試験データをまとめる症例報告書のデータをブロックチェーン技術で結び付けるシステムです。AWSの公式技術記事によると、同システムにはエンタープライズ向けブロックチェーンであるハイパーレジャー・ファブリック(Hyperledger Fabric)が採用され、運用にはAmazon Managed Blockchainが活用されており、参加組織を限定したコンソーシアム型の構成をとっています。

実用化に向けてサスメドは、国の規制のサンドボックス制度を活用して技術実証を進めてきました。その成果に基づき、2020年12月にはグレーゾーン解消制度を通じて厚生労働省から回答を得ており、同システムを適切に運用することで、従来医療機関を訪問して人手で行っていたデータ照合作業を代替できることが確認されていました。

工数削減の実績とドラッグ・ラグ解決に向けた方針

治験業務における効率化については、日本医療研究開発機構(AMED)の事業で行われた従来手法との比較検証によって具体的な数値が示されています。検証結果によると、モニタリングの工数が45.9%、医療機関の工数が32.0%減少したほか、データの確認や修正依頼などを目的とした問い合わせ件数も46.7%減少しました。

サスメドは、ブロックチェーンを活用した治験の効率化を通じて新薬開発の生産性向上を目指すとしています。また、海外で承認済みの医薬品が国内で遅れて承認される「ドラッグ・ラグ」や、国内での開発着手自体が見送られる「ドラッグ・ロス」の解決に貢献していく方針を示しています。

ポイント

  • サスメドのブロックチェーン臨床試験システム「SUSMED SDS」を用いた治験により、ヴィアトリス製薬の「ウエキクス錠」が製造販売承認を取得し、企業治験の結果に基づく承認として世界初の事例となった点
  • 規制のサンドボックス制度やグレーゾーン解消制度を通じて、訪問によるデータ照合作業を代替できる旨の厚生労働省の確認を取り付け、法規制の枠組みをクリアして実用化に至った点
  • 比較検証において、モニタリング工数45.9%減、医療機関工数32.0%減、問い合わせ件数46.7%減という明確な業務削減効果を示した点
  • 治験データの改ざん耐性と信頼性確保を背景に、新薬開発の効率化やドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスの解消を目指す方針が示された点
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