英国の大手金融機関が、ブロックチェーン基盤を用いてトークン化預金の銀行間送金を初めて完了させました。業界団体UK Financeが主導するプロジェクトの一環として行われ、住宅ローン取引などの決済検証が実施されたとされています。イングランド銀行(英中央銀行)は、金融システムの安定性の観点から民間発行のステーブルコインよりも銀行預金のトークン化を支持する姿勢を示しています。既存の銀行システムの枠組みを維持しながら決済効率を高める取り組みとして、Web3および金融業界の双方から関心を集めています。
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実証実験の内容とプログラマブル決済の検証
今回の実証実験は、UK Financeが進めるプロジェクト「Great British Tokenised Deposit」の一環として実施されました。ロイズ(Lloyds)、ナットウエスト(NatWest)、バークレイズ(Barclays)が参加し、トークン化預金を用いた2件の住宅ローン関連取引を処理したとされています。
また、HSBCを含む別の銀行グループでは、オンラインマーケットプレイスでの物品購入を模した個人間取引のテストが行われました。この実験では、商品の受け取りが確認されるまで買い手の資金を自動で留保するプログラマブル預金の仕組みが導入されました。条件付き支払いを自動化することで、取引における不正リスクの削減に寄与する可能性があるとされています。
イングランド銀行がステーブルコインよりトークン化預金を支持する背景
イングランド銀行は、民間企業が発行するステーブルコインではなく、規制下にある商業銀行のトークン化預金を優先して革新を進める方針を取っています。
トークン化預金は既存の銀行預金をブロックチェーン上のトークンとして表章したものであり、従来の預金口座と同じ法的地位を持ちます。債務が銀行のバランスシート内に留まるため、銀行システムの外部で流通する民間ステーブルコインに比べて金融仲介機能や信用創造への影響を抑えやすいとされています。イングランド銀行のアンドリュー・ベイリー総裁は、民間ステーブルコインが金融システムの安定性を損なうリスクについて以前から言及しており、発行上限規制を維持するなど慎重な監督を続けています。
制度設計と2027年に向けたロードマップ
実証実験を終えた次のフェーズとして、UK Financeは運用のための事業組織の設立とルールブックの整備を進める計画とされています。制度的な基盤を整えることで、パイロット段階から商用環境への移行を図る狙いがあると見られます。
また参加銀行は、2027年第1四半期にトークン化預金で決済される3銘柄の取引可能なデジタル債券の発行を目指しているとされています。資産と資金の同時受渡(Delivery versus Payment)をブロックチェーン上で実現し、決済リスクや日中流動性の負担を軽減できるかが今後の重要な検証点となります。
ポイント
- 英国の大手銀行が、ブロックチェーン基盤を活用したトークン化預金の銀行間送金実験を初めて成功させました。
- 住宅ローン取引や、受取確認まで資金を留保するプログラマブル預金を用いた模擬売買が検証され、業務効率化や不正防止につながる可能性が示されました。
- トークン化預金は銀行のバランスシート上に負債が残るため、英中銀は金融システムの安定を理由に民間ステーブルコインよりも支持しています。
- 2027年第1四半期にはトークン化預金で決済されるデジタル債券の発行が計画されており、資本市場での実用化に向けた進展として注目されます。
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