ビットコインの保有を進めるメタプラネットは、2026年6月に私募社債を取り扱う旧Siiibo証券の全株式を21億円で取得すると発表し、7月に完全子会社化して「メタプラネット証券」へ商号を変更しました。メタプラネット証券の小村和輝代表取締役CEOへの取材により、初面談から約2カ月で買収の大筋が固まった経緯や、創業の原点にブロックチェーン技術による信用市場の構想があったことが明かされました。同社は8月に開始した社債発行プログラム「BitBonds」の規模拡大を目指すとともに、将来的には公募債やステーブルコインによる利払い、セキュリティ・トークン(ST)の検討も視野に入れています。
ステーブルコインの動きは、総研プライムの週刊レポート「週刊ステーブルコイン」で毎週追っています。最新号を読む(初月無料)
株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイトと編集方針をご覧ください。
独立成長の限界と2カ月での子会社化合意
Siiibo証券がグループ入りを選択した背景には、独立系フィンテック企業として事業を伸ばすモデルへの限界感がありました。小村氏によると、多額のマーケティング費用を投じて自社単独で顧客を獲得し続ける手法には限界があり、ベンチャーキャピタルから調達した資金だけで成長するモデルを見直すなかで、既存株主を通じてメタプラネットの紹介を受けたとしています。
メタプラネット側も多数の株主基盤を背景に金融分野への進出を目的として証券会社を探しており、両社のニーズが一致しました。小村氏はドイツ証券やブラックロック・ジャパンでの勤務経験を経て創業しており、伝統的な金融とスタートアップ双方のカルチャーに理解のある提携先を重視していました。初面談が行われた2026年4月末ごろから約2カ月で買収の大筋が合意に達し、7月に完全子会社化が完了しました。
創業時のブロックチェーン構想と規制下での市場開拓
今回の取材では、Siiibo証券の創業の発想にブロックチェーン技術を用いた分散型のクレジット(信用)市場の構築構想があったことが明らかにされました。その後、規制整備の動向を踏まえ、法規制の外側ではなく自身が金融事業者として規制当局の下で市場をつくる方針へ転換し、私募社債のオンライン販売を手がける証券会社の設立に至った経緯があります。
同社は大企業の公募債が中心だった日本の社債市場において、成長企業や未上場企業が社債で資金調達を行い、個人投資家が直接投資できる仕組みを開拓してきました。ビットコインを事業の中核とするメタプラネットの傘下に入ったことで、約7年を経て再びデジタル技術との接点が生まれた形となります。
BitBondsの拡大とセキュリティ・トークンなどの活用計画
メタプラネット証券は、親会社の社債発行だけでなく、従来から進めてきた第三者企業の社債発行支援も強化する方針を示しています。これまで40数社を超える企業の起債を支援してきた実績を、今後は100社、200社へと拡大することを目指しています。
両社の取り組みとして8月に開始された社債発行プログラム「BitBonds」は初回約2億円からスタートしましたが、今後はこれまでにない規模での起債を目指すとしています。さらに将来的には、公募債への展開、ステーブルコインを用いた利払い、セキュリティ・トークン(電子記録移転権利などのデジタル証券)、社債のセカンダリー市場(流通市場)の拡大も検討の視野に入れていると説明されています。
ポイント
- メタプラネットは2026年6月12日に旧Siiibo証券の全株式を21億円で取得すると発表し、7月に完全子会社化および商号変更を実施しました。
- 買収交渉は2026年4月末の初面談から約2カ月という短期間で大筋合意に至り、顧客基盤の共有と金融・スタートアップ双方へのカルチャー理解が合致の要因となりました。
- Siiibo証券の創業原点はブロックチェーンによる分散型信用市場構想にあり、規制下での証券会社立ち上げを経て、メタプラネット傘下で再びデジタル技術領域と連動する形となりました。
- 8月に約2億円規模で開始された社債プログラム「BitBonds」の大型化に加え、将来的には公募債、ステーブルコイン利払い、セキュリティ・トークン(ST)などの導入が検討されている点で注目されます。