米決済大手のVisaにおいて、ステーブルコインを用いた決済処理(カード発行企業と加盟店管理企業の間で発生する精算業務)の年換算ランレートが250億ドル(約3兆8,000億円)を突破しました。直近の取引規模は前年同期比で約10倍に拡大しており、法定通貨と連動する暗号資産が大手金融インフラの決済実務に着実に組み込まれつつあることを示しています。同社は特定の銘柄やネットワークに依存しない中立的な姿勢を掲げており、決済シェアの獲得を目指す主要ステーブルコイン発行体の競争が激化しています。
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年換算250億ドル到達と対応インフラの拡充
Visaの最高経営責任者(CEO)であるライアン・マキナニー氏は、直近の決算説明会においてステーブルコイン決済のランレート(直近の実績をもとに1年間の規模を推計した指標)が250億ドルを超えたことを明らかにしました。前年の同指標と比較して約10倍のペースで成長しており、決済ネットワーク上での取り扱いが急伸しています。
決済処理を支えるブロックチェーンインフラも急速に拡張されています。Visaがステーブルコインの清算に対応するブロックチェーンネットワークの数は、前年の2倍以上となる計10種類に達しました。現在サポートされているステーブルコインは、サークル社が手がけるUSD Coin(USDC)およびユーロ担保型のEuro Coin(EURC)、PayPal USD(PYUSD)、Global Dollar(USDG)、そしてBrale社が発行するSBCの計5銘柄となっています。
プラットフォームの中立方針と発行体間のシェア争い
決済規模が拡大するなかで、取り扱い銘柄の選定やシェアの行方が焦点となっています。マキナニーCEOは自社の基本方針として、特定の暗号資産や基盤に偏らない「ステーブルコイン・アグノスティック」および「ブロックチェーン・アグノスティック」の立場をとることを明言しました。Visa自体が特定の通貨を優遇しない方針を示したことで、手数料や流動性の面からどの発行体が実際の決済フローを獲得できるかが市場で競われています。
一方で、VisaはUSDCの競合銘柄に位置づけられるオープンUSD(Open USD)コンソーシアムの支援にも関与していると報じられています。決済ネットワークを介さずに金融機関同士がオンチェーン上で直接清算を行う動きが進むかどうかも含め、既存のカード決済網とステーブルコイン基盤の関係性が注目されます。
ポイント
- Visaのステーブルコイン決済処理額が年換算で250億ドルを突破し、前年の約10倍の水準へ急拡大しました。
- 精算業務で対応するブロックチェーン数は10種類へと倍増し、USDCやPYUSDなど5種類のステーブルコインが取り扱われています。
- 同社首脳は銘柄やブロックチェーンを特定しない中立方針を表明しており、決済フローの獲得をめぐる発行体同士の競争が進む見込みです。
- ステーブルコインが大手決済インフラの中核処理に定着しつつあり、伝統金融とオンチェーン決済の統合モデルとして注目されます。