本文へスキップ
ブロックチェーン総研by Pacific Meta

チェイナリシスがバイナンスのハッキングでDeFi受託証トークン経由の送金経路を指摘。JustLendを介したUSDTの別ウォレット引き出しが判明

ブロックチェーン分析企業のチェイナリシス(Chainalysis)は、暗号資産取引所バイナンス(Binance)のハッキング被害において、DeFi(分散型金融)の預かり証トークンを経由した資金移動ルートが存在することを指摘しました。別のオンチェーン分析事例では、ステーブルコインのテザー(USDT)がレンディングプロトコル「JustLend」に預託され、受取証トークンである「jUSDT」として別ウォレットへ送金された後に引き出された実態が確認されています。DeFiプロトコルの預託証明を活用した資金移動は、中央集権的な資産凍結やオンチェーン追跡を複雑化させる新たな手口として、Web3業界の関係者から注目されています。

ステーブルコインの動きは、総研プライムの週刊レポート「週刊ステーブルコイン」で毎週追っています。最新号を読む(初月無料)

ステーブルコイン導入支援について、Pacific Metaに相談できます。導入支援サービスを見る

監修:ブロックチェーン総研編集部

株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイトと編集方針をご覧ください。

JustLendにおける預託と受取証トークンの送金事例

公開されているオンチェーンの取引記録によると、今回の不正流出に関連する事例として、USDTがJustLendに預託される動きが確認されています。

JustLendはトロン(Tron)ブロックチェーン上で提供されている分散型レンディングプロトコルとされています。同プロトコルでは、資産を預託した利用者に対して、預託証明および利息請求権を表すトークン(USDTの場合はjUSDT)が発行される仕組みとなっています。今回の事例では、預託によって取得されたjUSDTが別のウォレットアドレスへと転送され、その受取先ウォレットにおいて元の資産へ引き出された(償還された)ことが示されています。

預託証明トークンを介した追跡回避の背景

通常の不正流出では暗号資産が直接アドレス間を移動することが多いですが、今回の手法ではDeFiの預託証明トークンが仲介として利用されています。

USDTなどのステーブルコインは、不正流出の発覚時に発行体の判断によって特定アドレスが直接ブラックリスト化(凍結)される仕組みを持っています。これに対し、ステーブルコインそのものを移動させるのではなく、DeFiプロトコルから発行される受取証トークンを移転させて別のアドレスで償還することで、発行体による直接の資産凍結を回避しようとする狙いがある可能性が考えられます。

直接的なステーブルコインの送金を避け、スマートコントラクトを中継して請求権を移転させる手法は、取引所や分析企業による追跡を難しくさせる要因となります。

ポイント

  • チェイナリシスが、バイナンスのハッキング被害においてDeFi受取証トークンを用いた送金経路を指摘した点
  • JustLendに預託されたUSDTが受取証トークン「jUSDT」として別ウォレットへ送金され、引き出されたオンチェーン記録が確認された点
  • ステーブルコイン本体ではなくDeFiの預託証明を移転させることで、発行体によるアドレス凍結を回避する狙いがあると考えられる点
  • レンディングプロトコルを中継した複雑な送金手口が、業界全体のオンチェーン分析やコンプライアンスにおける重要な課題となる点

記事を検索する