香港の大手銀行である香港上海銀行(HSBC)が発行する香港ドル建てステーブルコイン「HSBCレッドコイン(HSBC RedCoin:RCHKD)」の利用者数が、提供開始から約10日で5万人に達しました。同行のグループCEOであるジョージズ・エルヘデリー氏が、金融技術イベント「香港フィンテックウィーク」のパネル討論で明らかにしました。伝統的な大手銀行が規制当局のライセンスに基づき、既存の大規模な決済基盤を活用してステーブルコインの普及を進めている事例として注目されます。
ステーブルコインの動きは、総研プライムの週刊レポート「週刊ステーブルコイン」で毎週追っています。最新号を読む(初月無料)
ステーブルコイン導入支援について、Pacific Metaに相談できます。導入支援サービスを見る
株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイトと編集方針をご覧ください。
既存決済基盤を活用した普及と準備資産の透明性
RCHKDは2024年10月23日に提供が開始され、決済アプリ「ペイミー・バイ・HSBC(PayMe by HSBC)」を通じて提供されています。利用者はアプリ内でステーブルコイン用のウォレットを有効化することで、個人間送金や加盟店への支払いが可能になります。同アプリは330万人を超える利用者と10万店を超える加盟店ネットワークを有しており、既存の広範な顧客基盤が初期の利用者獲得につながったと見られます。
本ステーブルコインは、香港金融管理局(HKMA)が同行に付与したステーブルコイン発行ライセンスに基づいて発行されており、所定の条件に従って1枚を1香港ドルで償還できる設計となっています。HSBCが公開した11月3日時点の開示データによると、RCHKDの流通残高は約8,901万香港ドル(約17.9億円)に対し、準備資産は約9,001万香港ドル(約18.1億円)が確保されています。同行はこの準備資産について、全額を現金として保有していることを開示しています。
モバイルバンキング展開とトークン化資産購入への用途拡張
HSBCは今後、香港向けのモバイルバンキングアプリにもステーブルコイン用ウォレットを導入する計画を進めています。日常的な決済にとどまらず、香港ドル建てマネーマーケットファンド(MMF)の新たなシェアクラスをはじめとするトークン化投資商品の購入手段としてもRCHKDを利用可能にする方針です。これにより、ステーブルコインを通じた資産運用の円滑化を目指していると考えられます。
また同行は11月2日、香港にAI・新興技術研究所を設立することも発表しました。同研究所は2027年初頭の稼働を予定しており、研究対象にはブロックチェーン技術も含まれているとされています。同行はステーブルコインの実用化と並行して、先端技術の研究開発体制の構築も進めています。
ポイント
- 香港上海銀行(HSBC)が発行する香港ドル建てステーブルコイン「RedCoin(RCHKD)」が、提供開始から約10日で利用者数5万人に達した点
- 330万人超の利用者を抱える既存決済アプリ「PayMe」に統合され、個人間送金や10万店超の加盟店決済で利用されている点
- 香港金融管理局(HKMA)のライセンスに基づき、1枚1香港ドルの償還設計と全額現金による準備資産(約9,001万香港ドル)を開示している点
- モバイルバンキングアプリへの導入や、MMFを含むトークン化投資商品の購入手段への活用拡大が計画されている点