日本円ステーブルコイン「JPYC」の総流通量が、2026年6月26日に10億JPYC(約10億円相当)を突破したことがオンチェーンデータで確認されました。2025年10月27日の発行開始から約8カ月での大台達成となり、国内における円建てステーブルコインの実利用が着実に拡大していることを示しています。一方で、SBIグループが同月24日に信託型ステーブルコイン「JPYSC」の先行提供を開始するなど、国内市場における競争は急速に激化しています。
JPYCの成長とマルチチェーン展開の加速
JPYCは、1JPYC=1円で発行および償還される円建てのステーブルコインであり、複数のパブリックブロックチェーン上で流通しています。2025年10月の発行開始以降、順調に利用規模を拡大しており、2026年6月2日には累計発行額が30億円を突破していました。
この成長を支える大きな要因として、マルチチェーン展開の強化が挙げられます。2026年5月16日には、対応チェーンに「Kaia(カイア)」が追加されました。Kaiaは、LINEの「Finschia」とKakaoの「Klaytn」のブロックチェーン統合によって誕生したネットワークとされています。
Kaiaチェーンの追加に合わせて、JPYCの発行上限は従来の「1日100万円」から「1回100万円」へと変更されました。さらに、5月22日からはLINE上のステーブルコインウォレット「Unifi(ユニファイ)」での利用も開始されています。こうした施策が功を奏し、6月15日にはKaiaチェーンにおけるJPYCの流通量が、これまで主要だったPolygon(ポリゴン)を逆転して首位に立ちました。使いやすいウォレットの対応や新たなチェーンへの統合が、総流通量10億円突破の大きな原動力になったと見られます。
SBIグループの参入と国内ステーブルコイン市場の競争
JPYCが実利用の規模を拡大する一方で、国内の円建てステーブルコイン市場には強力な競合が参入しています。
SBIグループは、2026年6月24日に信託型ステーブルコイン「JPYSC」の先行提供を開始しました。JPYSCは、信託銀行に準備資産を信託する信託型の構造を採用したステーブルコインとされています。
イーサリアムのブロックチェーンエクスプローラーであるEtherscan(イーサスキャン)上では、先行提供の初日に100億JPYSC(約100億円相当)が発行されたことが確認されています。JPYCが約8カ月をかけてパブリックブロックチェーン上で10億円相当の流通量を築き上げたのに対し、金融大手のSBIグループは初日から100億円相当という大規模な発行を行っており、国内のステーブルコイン市場の勢力図に大きな影響を与える可能性があります。
このように、異なる発行形態や特徴を持つステーブルコインが相次いで登場し、規模を拡大していることは、日本のWeb3ビジネスにおける決済インフラの整備が急速に進んでいることを示しています。
ポイント
- 日本円ステーブルコイン「JPYC」の総流通量が、2026年6月26日に10億JPYC(約10億円相当)を突破しました。
- 2025年10月の発行開始から約8カ月での達成であり、国内における円建てステーブルコインの実利用が着実に浸透していることがうかがえます。
- 2026年5月に新規対応した「Kaia」チェーンでの流通量が、同年6月15日にはPolygonを抜いて首位になるなど、マルチチェーン展開とウォレット連携が成長を牽引していると見られます。
- 2026年6月24日には、SBIグループが信託型ステーブルコイン「JPYSC」の先行提供を開始し、初日に100億円相当が発行されるなど、国内市場の競争が本格化しています。