米国の超党派上院議員2人が、予測市場プラットフォームPolymarketの宣伝手法をめぐり、米商品先物取引委員会(CFTC)に対して調査を要請しました。この要請は、同プラットフォームがインフルエンサーに報酬を支払い、実際には存在しない取引や勝利を演出した動画をSNS上に投稿させていたとする報道を受けたものです。議員らは、こうした不適切なプロモーションが消費者保護の観点から深刻な懸念を生んでいると指摘しており、規制当局としてのCFTCの監督体制にも疑問を呈しています。予測市場に対する規制のあり方や消費者保護の議論が活発化するなか、本件は今後の業界動向に大きな影響を与える可能性があります。
偽の取引演出とインフルエンサーマーケティングへの懸念
この要請は、ジョン・カーティス上院議員とアダム・シフ上院議員が、CFTCのマイケル・S・セリグ委員長宛てに送付した書簡によって明らかになりました。
書簡の契機となったのは、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによる報道です。同紙の調査によると、Polymarketは複数のソーシャルメディアクリエイターに対して報酬を支払い、実際には行われていない取引や勝利の様子を撮影した動画を投稿させていたとされています。同紙が2025年12月から2026年5月中旬までに投稿された10人のクリエイターによる1105本の動画を調査したところ、約70%に賭けの描写が含まれていましたが、総額約190万ドル(約3億400万円、1ドル=160円換算)相当とされるこれらの賭けはすべて実際のものではなかったことが判明しました。
両議員は、短期的な利益を強調する宣伝や、インフルエンサーを用いたマーケティング、さらには実際の取引と演出の境界を曖昧にするこのような手法は、消費者保護の観点から非常に問題があるとして強い懸念を示しています。
CFTCの監督体制に対する疑問と質問状
カーティス議員とシフ議員は、CFTCが予測市場を適切に監督できているかについて疑問を呈しています。両議員は、同委員会が法律を適切に執行しておらず、連邦レベルの賭博規制当局として機能する体制が十分に整っていない可能性を指摘しました。また、スポーツやエンターテインメント関連のイベント契約が、単にCFTCの監督下にある商品として提供されているという理由だけで、一般的な賭博と大きく異なるものとして扱う根拠は乏しいと主張しています。
書簡の中で、両議員はCFTCに対し、以下の点を含む6項目の質問への回答を2026年7月10日までに求めています。
- ウォール・ストリート・ジャーナルの報道で指摘された行為について調査を行っているか
- Polymarketが米国ユーザーを対象外としていることをどのように確認しているか
- 偽の取引や模擬サイトを用いた宣伝行為を合法と考えているか
なお、Polymarketはブロックチェーン技術を活用した分散型の予測市場プラットフォームとされています。過去のCFTCとの合意に基づき、米国ユーザーのアクセスを制限しているとされていますが、今回の書簡ではその実効性を確認する方法についても問われており、米国の規制要件をどのように遵守しているかが焦点となっています。また、一部の海外報道によれば、この要請と前後して、CFTCが実際にPolymarketに対する新たな調査を開始したとも伝えられています。
業界への影響と重要性
予測市場は、暗号資産やブロックチェーン技術を活用した新たな市場として近年注目を集めています。しかし、その急速な成長に伴い、プロモーションの透明性や消費者保護、そして既存の賭博規制との整合性をめぐる議論が表面化しています。
本件は、インフルエンサーマーケティングを含むWeb3プロジェクトの宣伝手法に対し、規制当局や議会が厳しい目を向け始めていることを示しています。特に、演出された偽の取引を用いた宣伝は、一般ユーザーに対して過度な期待を抱かせるリスクがあり、プロジェクトの信頼性を損なう要因となります。今後、CFTCがどのような回答を示し、どのような規制方針をとるかによって、Polymarketのみならず、予測市場分野全体のマーケティング手法や米国での事業展開に大きな影響が及ぶ可能性があります。
ポイント
- 米国の超党派上院議員2名が、予測市場プラットフォームPolymarketの宣伝手法をめぐり、CFTCに調査を要請しました。
- 報道によれば、Polymarketが報酬を支払ったインフルエンサーの動画に登場する総額約190万ドル相当の賭けは、すべて実際には存在しない偽の取引であったとされています。
- 議員らは、実際の取引と演出の境界を曖昧にするプロモーション手法が、消費者保護上の懸念を生んでいると指摘しています。
- CFTCに対し、報道された行為の調査状況や米国ユーザーの排除確認方法などについて、2026年7月10日までの回答を求めています。
- 本件は、急速に拡大する予測市場分野におけるマーケティングの透明性と、規制当局の監督責任のあり方を問う重要な契機となる可能性があります。