米金融大手BNY(バンク・オブ・ニューヨーク・メロン)は2026年6月29日、Circle Internet Group(サークル)との提携を拡大し、機関投資家向けのステーブルコイン(法定通貨などと価値が連動する暗号資産)関連サービスを強化することを発表しました。今回の提携拡大により、サークルが発行するUSDコイン(USDC)が、BNYの「Digital Asset Custody」プラットフォームで最初に対応するステーブルコインとなります。伝統的な金融システムとブロックチェーン基盤を統合するこの取り組みは、機関投資家がデジタル資産をより安全かつ円滑に利用するための重要な一歩になると見られます。
提携拡大の背景と提供されるサービスの詳細
BNYは今回の提携拡大にともない、同社のデジタル資産カストディ(資産保管)プラットフォームを通じて、顧客が同社のウォレットでUSDCを保管できるようにします。これに加えて、USDCの送金、発行、償還にも対応する予定です。
具体的には、顧客がBNYを通じてサークルに指示を出し、米ドルをUSDCに転換して新たに発行する「ミント」や、USDCを米ドルに戻す「バーン」を可能にします。BNYはすでにUSDC準備資産の主要カストディアンを務めており、新サービスはその役割をさらに広げるものです。法定通貨サービスとデジタル資産カストディを単一の機関投資家向け枠組みの中で接続し、ステーブルコイン活動のライフサイクル全体を包括的に支援することを目指しています。
伝統的金融とデジタル資産の融合によるビジネスへの影響
世界最大のカストディ銀行とされるBNYは、2026年3月31日時点で、カストディおよび管理下資産59兆4000億ドル(約9500兆円、1ドル=160円換算)、運用資産2兆1000億ドルを誇ります。このような巨大金融機関がステーブルコインのインフラを強化することは、機関投資家がWeb3市場へ参入する障壁を大幅に下げる可能性があります。
BNYのCarolyn Weinberg(キャロリン・ワインバーグ)最高プロダクト・イノベーション責任者は、デジタル資産が金融市場に組み込まれる中で、伝統的な金融システムとブロックチェーン基盤の双方で円滑に機能するインフラが機関投資家には必要であると述べています。今回の機能拡充により、BNYが培ってきた運用規模、信頼性、耐障害性のもとで、顧客が価値を移動できる手段を広げることができると説明しています。
また、CircleのKash Razzaghi(カシュ・ラザギ)最高商務責任者は、USDCが最初のステーブルコインとして採用されたことは、サークルがUSDCに組み込んできた規制面での厳格さが評価された結果であると述べています。
今後の展開
BNYは、今後の計画としてUSDCへの対応にとどまらず、他のステーブルコイン発行体やデジタルキャッシュに関連するワークフローへの対応も順次拡大していく方針を明らかにしています。
ポイント
- 米金融大手BNYがCircleとの提携を拡大し、機関投資家向けのUSDC関連サービスを強化することを発表しました。
- BNYの「Digital Asset Custody」プラットフォームにおいて、USDCが最初に対応するステーブルコインとなります。
- 顧客はUSDCの保管や送金だけでなく、BNYを通じて米ドルとUSDCを相互に転換する「ミント」や「バーン」の操作も可能になります。
- 法定通貨サービスとデジタル資産カストディを単一の枠組みで接続することにより、機関投資家によるステーブルコインの利用やオンチェーン金融へのアクセスがさらに円滑になると見られます。
- BNYは今後、他のステーブルコイン発行体やデジタルキャッシュ関連のワークフローへの対応も拡大していく方針です。