オンドファイナンスが米国規制下で初の第三者カストディ型トークン化証券を導入

現実資産(RWA)のトークン化を進めるオンドファイナンス(Ondo Finance)は、米国上場証券を対象とした第三者カストディ型トークン化証券ソリューションの本番導入を2026年7月2日に発表しました。今回は、ブラックロック(BlackRock)のS&P 500連動型ETFである「iShares Core S&P 500 ETF(IVV)」と、半導体大手マイクロン・テクノロジー(Micron Technology)の株式が対象となり、イーサリアム(Ethereum)上でトークンが発行されます。米国の既存規制や市場インフラの枠組み内で、発行体以外の第三者がパブリックブロックチェーン上にトークン化証券を発行する初の事例として、業界内で大きな注目を集めています。

米国初となる第三者カストディ型モデルの仕組み

オンドファイナンスが米国規制下で初の第三者カストディ型トークン化証券を導入

今回のソリューションは、米証券取引委員会(SEC)が声明で示した「カストディ型トークン化証券」の類型に近いモデルを採用しています。

このモデルでは、原資産となるETFや株式は、米国の伝統的な規制下にあるカストディ(保管)チェーンに留まります。その上で、オンドファイナンス傘下のSEC登録トランスファーエージェント(証券の名義や保有者記録を管理する業者)であるオアシスプロTA(Oasis Pro TA)が、原資産に1対1で裏付けられたトークン化証券エンタイトルメントをイーサリアム上で発行します。

オンドファイナンスによると、このモデルにおけるトークン化サービス自体はオアシスプロTAの規制対象業務ではないとされています。また、トークン化証券の譲渡や移転に関する制限は、取引に関わるブローカーディーラーやトランスファーエージェント、カストディアンが既存の規制要件に従って執行します。

ブロードリッジとの提携によるオンチェーン議決権行使の実現

本ソリューションの大きな特徴は、従来の証券保有者と同等のガバナンス機能がトークン保有者に提供される点です。

オンドファイナンスは、投資家向けコミュニケーションや議決権行使インフラの大手であるブロードリッジフィナンシャルソリューションズ(Broadridge Financial Solutions)と提携しました。この提携により、トークン保有者はブロードリッジの議決権行使プラットフォーム「ProxyVote.com」を通じて、実際の株主と同様に議決権行使(プロキシ投票)への参加が可能になります。また、発行体からの通知や規制開示情報にもアクセスできるようになります。

これにより、ブロックチェーン上のトークンでありながら、投資家保護や株主としての権利行使が確保される仕組みが構築されました。

Web3ビジネスパーソンにとっての重要性と業界への影響

この出来事は、パブリックブロックチェーンを活用した現実資産(RWA)のトークン化が、米国の厳格な規制枠組みの中で実用化されたことを示しています。これまでトークン化された株式は米国外(オフショア)で運用されるか、発行体自体の承認に依存するケースが一般的でしたが、既存の市場インフラを維持したまま第三者が適法にトークン化できることが実証されました。

また、年間70億件以上のコミュニケーションを処理し、1日平均15兆ドル以上の取引を支えるブロードリッジのような巨大金融テクノロジー企業がWeb3領域に参入し、信頼性の高いガバナンスインフラを提供したことも、今後のセキュリティトークン市場の拡大において重要なマイルストーンになると見られます。

なお、入力テキストでは米国規制下での本番導入とされていますが、一部の海外報道によると、本ソリューションは現時点で米国の投資家向けには直接提供されていないとされており、今後の提供範囲の推移が注目されます。

ポイント

  • オンドファイナンスが、米国上場証券を対象とした米国初の第三者カストディ型トークン化証券の本番導入を発表しました。
  • トークン化の対象は、ブラックロックのS&P 500連動型ETF(IVV)とマイクロン・テクノロジーの株式で、イーサリアム上で発行されます。
  • 米SECが示したカストディ型モデルに沿っており、原資産は伝統的なカストディに置いたまま1対1のトークンを発行します。
  • ブロードリッジとの提携により、トークン保有者にオンチェーンでの議決権行使や開示情報の提供といったガバナンス機能が提供されます。
  • 既存の規制や市場インフラを崩さずにパブリックブロックチェーンを活用するアプローチとして、金融業界のデジタル化を推進する重要な一歩と見られます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

Pacific Metaマガジン編集部は、ブロックチェーン領域を中心に、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン(ST)、ステーブルコイン、NFTなどのトークン活用や、AI×ブロックチェーン領域における事業開発・実装に関する情報を発信する編集チームです。株式会社Pacific Metaが、グループ累計260社以上・41カ国以上のプロジェクトを支援してきた知見をもとに、記事の企画・監修を行っています。

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