欧州ESMA、予測市場の「イベント契約」に警告:既存のバイナリーオプション禁止措置が適用される可能性

欧州の主要な金融規制当局である欧州証券市場監督局(ESMA)は、世界的に人気が高まる予測市場(オンライン上で未来の出来事を予想して取引する市場)の「イベント契約」について、EUにおける既存のバイナリーオプション(二者択一の金融取引)規制の対象となる可能性があると警告しました。ESMAは、企業がバイナリー形式の商品を「デリバティブ(金融派生商品)」ではなく「イベント契約」という名称でマーケティングしたとしても、EUの金融ルールを回避することはできないと指摘しています。この動きは、予測市場を提供する事業者にとって、欧州市場における今後の法的な位置づけを左右する重要な出来事とされています。

イベント契約が既存の規制対象とされる背景

欧州ESMA、予測市場の「イベント契約」に警告:既存のバイナリーオプション禁止措置が適用される可能性

ESMAが2026年7月3日に発表した声明によると、予測市場で取引されるイベント契約は、将来の出来事に関する「はい」か「いいえ」の二者択一の結果に基づき、固定の支払いが行われるか、あるいは全く行われないかという特徴を持っています。

このようなバイナリー形式の結果と固定の支払い構造を持つ契約は、EUの金融商品市場指令(MiFID II)において金融商品に該当する可能性が高いとされています。EUでは2018年以降、一般の個人投資家(リテール顧客)に対するバイナリーオプションのマーケティング、配布、販売が禁止されています。そのため、イベント契約が金融商品に分類される場合、このリテール禁止措置の対象にすでに入っていることになります。

プロ向け配布でも投資サービス会社としての認可が必要に

ESMAは、金融商品に該当するイベント契約を提供する企業に対し、一般の個人投資家向けではないプロフェッショナル顧客や機関投資家(非リテール顧客)に限定して配布する場合であっても、MiFID IIに基づく投資サービス会社としての正式な認可が必要であると注意を促しています。これにより、一般投資家への販売を避けるだけでは規制を完全に回避することはできず、EU国内で合法的にサービスを提供するためのハードルは極めて高くなると見られます。

賭博法やMiCA規制との関連性

ESMAの声明では、イベント契約の質問内容によって金融商品に該当するかどうかが異なると説明されています。もし金融商品に該当しない場合であっても、以下のような他の規制の対象となる可能性が示されています。

まず、各国の国内法における賭博として分類され、賭博ライセンスが必要となる可能性があります。また、トークン形式で提供され、かつ金融商品に該当しないイベント契約については、EUの暗号資産市場規制(MiCA)における暗号資産として規制される可能性も挙げられています。このように、単に「イベント契約」と呼称を変えるだけでは規制を回避できず、実質的な性質に応じて厳しい法的分類が行われることになります。

ポイント

  • 欧州証券市場監督局(ESMA)は、予測市場のイベント契約が既存のバイナリーオプション規制の対象となり、一般投資家への販売が禁止される可能性があると警告しました。
  • 企業が商品の名称を「イベント契約」と呼称しても、実質的な性質がバイナリー形式であれば、EUの金融ルールを回避することはできないとされています。
  • プロ向け(非リテール)の配布であっても、金融商品に該当する場合はMiFID IIに基づく投資サービス会社としての認可が必要です。
  • 金融商品に該当しない場合でも、各国の賭博法や、EUの暗号資産規制(MiCA)の対象となる可能性があります。
  • 予測市場プラットフォームを提供するWeb3事業者にとって、欧州市場における法的な分類とコンプライアンス(法令遵守)の重要性が改めて示される形となりました。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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