米ニューハンプシャー州のビジネス金融局は、暗号資産ビットコインを担保とする1億ドル規模の地方債発行に向けた公聴会を開催します。この提案が実行されるには、同州のケリー・アヨット知事と5人のメンバーからなる行政評議会による最終的な承認が必要となります。本件は、伝統的な金融市場とデジタル資産の融合を図る世界初の試みとして、Web3業界や地方自治体の資金調達における新たなマイルストーンとなるかが注目されています。
公金リスクを排除した地方債の仕組みと清算トリガー
提案されている1億ドルのビットコイン裏付け地方債は、従来の地方債とは大きく異なる構造を持っています。この債券では、州政府が投資家への返済を保証するのではなく、民間の借り手であるビットコインマイニング企業CleanSpark(クリーンスパーク)が返済義務を負う仕組みとなっています。これにより、ニューハンプシャー州の公金や納税者の資金は一切リスクにさらされないとされています。
また、デジタル資産に特有の価格変動(ボラティリティ)リスクに対処するため、特別なルールが設けられています。報告によると、担保価値が一定の基準(担保比率140%など)を下回った場合、債券保有者への全額返済に充てるため、担保であるビットコインが強制的に清算(売却)される「清算トリガー」が組み込まれているとされています。この仕組みにより、ビットコインが急落した際にも投資家の資産を保護する対策が講じられています。
伝統金融とデジタル資産の統合を主導するニューハンプシャー州
ニューハンプシャー州は近年、デジタル資産の導入において先駆的な動きを見せています。同州は2025年5月に、公的資金の最大5%をビットコインなどのデジタル資産に投資することを可能にする「戦略的ビットコインリザーブ(戦略的暗号資産準備)」法を全米で初めて制定し、大きな注目を集めました。
今回の地方債発行が承認されれば、デジタル資産企業が伝統的な地方債市場を通じて資金調達を行う初の事例となります。取引の管理はデジタル資産関連企業のWave Digital Assetsが担当し、カストディ(資産保管)はBitGoがコールドストレージを用いて行う予定とされています。また、格付け機関のムーディーズは、この債券に対して予備的な格付けを付与していると報じられており、伝統的な金融機関からもその構造に関心が寄せられています。
ポイント
- ニューハンプシャー州が、ビットコインを担保とする1億ドル規模の地方債発行に関する公聴会を開催します。
- 債券の最終的な実行には、ケリー・アヨット州知事と5人の行政評議会メンバーによる承認が必要とされます。
- 州の公金や納税者の資金は一切使用されず、民間企業が返済義務を負う構造によりリスクを排除しています。
- ビットコインの価格急落に備え、担保を自動的に清算して投資家に返済する「清算トリガー」が設計されている点で注目されます。
- 承認されれば世界初のビットコイン裏付け地方債となり、デジタル資産と伝統金融の融合を進める重要な先例となる可能性があります。