米ドル建てステーブルコイン「USDT」を発行するテザー(Tether)社が、ビットコイン(Bitcoin)ネットワーク上でネイティブなUSDTの提供を準備していることが、米暗号資産メディア「ビットコイン・マガジン(Bitcoin Magazine)」の報道により明らかになりました。このプロジェクトはビットコイン向けインフラ開発のユーテクソ(UTEXO)が商用展開を主導し、早ければ7月中に提供が開始される見込みです。ビットコインエコシステムにおけるUSDTの直接利用が可能になることで、ライトニング・ネットワーク(Lightning Network)を通じた高速かつ低コストな決済の実現が期待されています。
ビットコインネイティブUSDTの仕組みとRGBプロトコルの採用
今回の取り組みでは、ビットコイン向けのトークンプロトコルであるRGBが採用されると報じられています。RGBは、ビットコインのUTXO(未使用トランザクションアウトプット)モデルを活用してデジタルアセットの発行や転送を行うための、クライアントサイド検証に基づくプロトコルとされています。
ユーテクソはRGBを活用したウォレットや決済インフラを提供し、ユーザーによるUSDTの送受信や、ライトニング・ネットワークとの連携を支援する役割を担います。これにより、USDTを他のブロックチェーンを介さずに、ビットコインネットワークのネイティブアセットとして直接利用できるようになります。また、ライトニング・ネットワークを活用した、高速かつ低コストな決済への対応を目指していると説明されています。
UTEXOによる開発主導と資金調達の背景
このビットコインネイティブUSDTの商用展開を主導するユーテクソは、ビットコインネイティブな実行および決済レイヤーを開発するスタートアップとされています。同社は、企業や決済事業者が安定したコストと高度なプライバシーを保ちながら決済を行えるインフラの提供を目指しています。
ユーテクソは、今年3月にUSDT決済基盤の構築に向けたシードラウンドで750万ドル(約11.8億円)を調達したことを発表しています。この資金調達ラウンドはテザー社のほか、ビッグブレインホールディングス(Big Brain Holdings)やポータルベンチャーズ(Portal Ventures)が共同主導しました。
今後のスケジュールと対応状況
報道によると、RGBを経由したビットコインネイティブUSDTは、早ければ7月中にも提供が開始される見込みです。
対応する周辺環境の整備も進んでおり、すでにテザー・ウォレット(Tether Wallet)などのウォレットが同USDTへの対応を表明しているほか、世界各地の暗号資産取引所もシステム統合を進めていると伝えられています。これまでイーサリアムやトロンなどの他チェーンで主に流通していたUSDTが、ビットコインのセキュリティとライトニング・ネットワークの即時決済能力を背景に、ビットコインエコシステムへ回帰する動きとして注目されます。
ポイント
- テザー社がビットコインネットワーク上でネイティブなUSDTの提供を準備していることが報じられました。
- ビットコイン向けインフラを開発するユーテクソ(UTEXO)が、商用展開を主導します。
- 技術面ではトークンプロトコル「RGB」が採用され、ライトニング・ネットワークを通じた高速・低コストな決済への対応が目指されています。
- 早ければ7月中に提供開始される見込みで、テザー・ウォレットなどの対応表明や取引所での統合が進められています。
- ユーテクソは今年3月にテザー社らから750万ドルを調達しており、ビットコインエコシステムにおける決済基盤の構築が加速する点で注目されます。