インターネットサービス大手のクラウドフレア(Cloudflare)は、AI(人工知能)エージェントの普及に対応する新たな決済機能「Monetization Gateway」を発表し、利用者の募集を開始しました。この機能は、オープン決済プロトコル「x402」を採用し、ローンチ時にはステーブルコインを用いた利用ベースの決済を実現するものです。自律的に稼働し広告を閲覧しないAIエージェントの増加に伴い、従来のWebビジネスモデルからの転換が迫られる中、新たなマネタイズ手法として大きな注目を集めています。
背景:AIエージェントの台頭と従来のビジネスモデルの限界
AIエージェントとは、AIの技術を活用して、人間や他のシステムに代わって自律的にタスクを実行するシステムやプログラムのことです。
これまでのインターネット上のサービスは、主に人間を対象としており、広告、サブスクリプション、eコマース(電子商取引)などを介して収益化を行ってきました。しかし、AIエージェントは広告を見ないなどの特性を持つため、人間とは異なるビジネスモデルが必要になります。クラウドフレアは、AIエージェントが主要なインターネットユーザーになるにつれて、これまでのビジネスモデルが通用しなくなると指摘しています。
決済機能「Monetization Gateway」の概要とステーブルコインの採用
「Monetization Gateway」は、クラウドフレアの顧客がウェブページ、データセット、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)などに対して料金を請求できるようにするための機能です。この機能は、利用実績に基づいた請求(少額決済など)を実現することを目的としています。
ローンチ時には、決済手段としてステーブルコインが活用されます。クラウドフレアは、OUSDやUSDCのようなステーブルコインには、少額決済が行いやすく、手数料が安価で、決済が迅速に実行できるというメリットがあると説明しています。また、同社はドル建てステーブルコイン「NET」の発行計画も発表しており、自動取引やAIエージェント向けの機能を重視した設計を進めるとしています。
技術的基盤:オープン決済プロトコル「x402」
本機能の基盤となるのは、暗号資産取引所コインベース(Coinbase)が2025年5月に発表したオープン決済プロトコル「x402」です。
x402を巡っては、2026年4月にリナックス財団(Linux Foundation)傘下の組織として「x402財団」が正式に発足しました。この財団はもともとクラウドフレアとコインベースが創設した組織であり、現在ではグーグル(Google)やマイクロソフト(Microsoft)などの大手テック企業もメンバーとして参加しています。AIエージェントによる自律決済の標準化を目指す動きが業界全体で加速しています。
ポイント
・AIエージェントの普及により、従来の広告やサブスクリプションに依存するWebビジネスモデルが通用しなくなる可能性があり、新たな収益化モデルの構築が必要とされている点で注目されます。
・「Monetization Gateway」は、WebページやAPIの利用実績に応じた少額決済を可能にし、ステーブルコイン(OUSDやUSDCなど)を活用することで、安価かつ迅速な決済を実現する点で重要です。
・決済プロトコルには、コインベースが開発し、グーグルやマイクロソフトなども参加する「x402財団」が推進するオープンプロトコル「x402」が採用されている点で、業界標準化への道筋が示されています。
・クラウドフレアは自社でもドル建てステーブルコイン「NET」の発行計画を進めており、AIエージェント経済圏における決済インフラの主導権を握る動きとして注目されます。