英国の裁判所は、暗号資産を用いた1億1500万ドル規模の身代金詐欺スキームに関与したとして、サイバー犯罪グループに関連するハッカー2名に禁錮刑を言い渡しました。この2名は、米国企業などを標的にした広範な脅迫行為や、ロンドン交通局への大規模なサイバー攻撃に関与したとされています。法執行機関による今回の取り締まりは、暗号資産を標的とするサイバー犯罪組織の活動を大きく制限するものとして、業界内で注目されています。
事件の概要と判決の内容
英国の国家犯罪対策庁(NCA)とロンドン市警察の発表によると、判決を受けたのはタルハ・ジュベア(20歳)とオーウェン・フラワーズ(18歳)の2名です。彼らは2026年6月にウーリッジ刑事裁判所で有罪を認め、同年7月16日にそれぞれ5年6ヶ月の禁錮刑を言い渡されました。
2人は、2024年9月に発生したロンドン交通局(TfL)へのサイバー攻撃に関与したとされています。この攻撃はロンドンの公共交通ネットワークに重大な混乱をもたらし、復旧費用や損失として約2900万ポンド(約3890万ドル)の損害を発生させました。
暗号資産を標的にした犯罪グループの手口
米国検察当局(司法省)の発表によると、2人が所属していたサイバー犯罪グループ「Scattered Spider(スキャッタード・スパイダー)」は、少なくとも120件のネットワーク侵入に関与し、47以上の米国企業から合計1億1500万ドルの暗号資産を身代金として脅し取ったとされています。
このグループは、携帯電話の番号を乗っ取る「SIMスワッピング」(携帯キャリアを騙して被害者の電話番号を新しいSIMカードに移し替え、二要素認証コードなどを傍受する手法)やSMSフィッシングなどの手法を用いて企業の資格情報を盗み出し、暗号資産ウォレットや金融資産へのアクセスを得ていたとされています。2023年9月には、大手カジノ企業のシーザーズ・エンターテインメントに侵入して顧客データベースを窃取し、1500万ドル相当のビットコイン(BTC)を身代金として支払わせたことでも知られています。
業界への影響と法執行機関の成果
今回の判決は、Web3や暗号資産業界におけるセキュリティ強化と、法執行機関による犯罪追跡能力の向上を示す重要な出来事と見られます。2024年7月には、米連邦捜査局(FBI)が同グループに関連するウォレットから約3600万ドル相当の暗号資産を差し押さえるなど、国際的な連携による犯罪資産の回収も進められています。
国家犯罪対策庁(NCA)は、今回の2名の判決によってグループの犯罪活動は事実上停止したとしています。また、Microsoftなどの外部機関も、この逮捕によってグループの活動能力が著しく低下したと評価しており、サイバー犯罪組織に対する大きな打撃となったとされています。
ポイント
- 英国の裁判所が、サイバー犯罪グループ「Scattered Spider」の主要メンバー2名に対し、それぞれ5年6ヶ月の禁錮刑を言い渡しました。
- 同グループは、SIMスワッピングなどを悪用して、米国企業などから計1億1500万ドルに上る暗号資産の身代金を脅し取ったとされています。
- 2024年7月にはFBIが関連ウォレットから約3600万ドル相当の暗号資産を差し押さえており、法執行機関による資産回収の成果が示されています。
- 今回の判決により、同グループの犯罪活動は事実上停止したと評価されており、暗号資産を狙うサイバー犯罪に対する重要な抑止力となる点で注目されます。