トークン化株式エックスストックスに投票意向提出の機能が導入へ ブロードリッジとの提携で株主ガバナンスを拡充

米フィンテック大手のブロードリッジ・ファイナンシャル・ソリューションズは8月5日、仮想通貨取引所クラーケンの親会社ペイワードの事業部門ペイワード・サービシズが提供する株式トークン化サービス「エックスストックス」において、株主総会の投票意向を提出できる機能を導入すると発表しました。トークン化株式の保有者は、Web3認証を用いて専用プラットフォームにログインし、関連資料を確認した上で投票指示を出すことが可能になります。従来のトークン化株式は所有権を伴わないトラッカー証書としての性質が強く投票権が付与されないケースが大半でしたが、本提携により株主としての権利行使の道が拓かれます。ブロックチェーン技術の利便性と資本市場における株主権利の行使を両立させる取り組みとして注目されます。

トークン化株式における投票意向提出の仕組み

ブロードリッジとペイワード・サービシズの提携により、株式トークン「エックスストックス(xStocks)」の保有者は、ブロードリッジの統合ガバナンスプラットフォームを通じて株主総会への投票意向を提出できるようになります。

具体的には、対象となる株式トークンの保有者がWeb3認証を利用して「プロキシボート・ドットコム(ProxyVote.com)」へログインし、該当銘柄の株主総会関連資料を確認した上で投票の意向を提出する仕組みです。なお、ブロードリッジは伝統的な資本市場において議決権行使や株主通信の基盤を提供する主要企業として知られています。

トークン化証券が抱えていたガバナンス上の課題と背景

従来のトークン化株式は、裏付けとなる現実資産の価格や配当などの経済的価値を反映するトラッカー証書としての性格が強く、株式そのものの所有権を伴わない構造となっていました。そのため、トークン保有者に株主総会での投票権が付与されないケースが大半を占めていました。

今回の取り組みについて、ペイワードのチーフ・コマーシャル・オフィサーでペイワード・サービシズのグローバル統括責任者を務めるマーク・グリーンバーグ氏は、トークン化の目的は取引の高速化にとどまらず、企業運営への発言権を含めた株式所有に伴う権利を世界中の人々に提供することにあると述べています。また、ブロードリッジの投資者コミュニケーション部門プレジデントであるダグ・デシュッター氏も、投資家がブロックチェーンの技術革新と株主の権利のいずれかを選ばなければならない状況は望ましくないと指摘しています。

エックスストックスの規模と今後の方向性

エックスストックスは、上場企業の株式を1株につき1トークンの比率でトークン化するサービスで、取引量の面で市場最大規模の株式トークン化サービスです。

サービスを提供するペイワード・サービシズは、上場株式やETF、未上場株式(プレIPO)を含めて500種類以上のトークン化資産を展開しています。同社は今後も複数の国際市場を対象とした株式トークン化の追加を予定しているとしています。経済的価値の追従にとどまっていたRWA(現実資産トークン化)の分野において実質的なガバナンス機能が組み込まれることは、伝統的な株式市場とのギャップを埋める上で重要な進展であると見られます。

ポイント

  • ブロードリッジとペイワードの提携により、トークン化株式「エックスストックス」の保有者がWeb3認証を通じて株主総会の投票意向を提出できるようになりました。
  • 従来は裏付け資産の価格や配当に連動するトラッカー証書にとどまり投票権が付与されないケースが大半であったため、ガバナンス機能を補う取り組みとして注目されます。
  • 取引量で市場最大とされるエックスストックスで投票機能が提供されることは、トークン化証券(RWA)市場において株主の権利行使を可能にする重要な一歩と位置づけられます。
  • 500種類以上のトークン化資産を提供するペイワード・サービシズは、今後も国際市場を対象とした新たな株式トークン化を計画しています。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

Pacific Metaマガジン編集部は、ブロックチェーン領域を中心に、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン(ST)、ステーブルコイン、NFTなどのトークン活用や、AI×ブロックチェーン領域における事業開発・実装に関する情報を発信する編集チームです。株式会社Pacific Metaが、グループ累計260社以上・41カ国以上のプロジェクトを支援してきた知見をもとに、記事の企画・監修を行っています。

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