米ステーブルコイン大手のサークルは、暗号資産取引所大手のコインベースとのステーブルコイン「USDC」に関する協業契約を既存条件のまま更新したことを発表しました。業績関連の条件を満たしたことで、両社の提携期間は2029年頃まで延長されます。サークル側は四半期配当の導入を見送り、資本を成長分野や戦略的取り組みへの再投資に充てる方針を示しました。
提携契約の更新内容と収益分配の仕組み
サークルの共同創業者兼会長兼最高経営責任者(CEO)であるジェレミー・アレア氏は、8月5日に開催された2026年第2四半期決算説明会において、コインベースとのUSDCに関する提携が既存条件のまま更新されたことを明らかにしました。
両社の提携は2023年8月18日に発効した協業契約に基づいており、当初の契約期間は3年間でした。この契約は、両社が業績関連の「閾値基準」を満たした場合に3年単位で自動更新される仕組みとなっており、今回の更新によって契約は2029年頃まで延長されます。
コインベース側でも、最高財務責任者(CFO)のアレシア・ハース氏が7月30日の決算説明会で、既存条件のまま更新されることを先行して言及していました。同氏は、コインベースが競合するステーブルコイン構想「オープンUSD(OUSD)」に参画したことを受けた市場の懸念や憶測を打ち消す形で、従来の提携関係が維持される点を明確にしています。
今回の更新にあたり、両社の収益分配構造に変更はありません。コインベースのプラットフォーム上で保有されるUSDCの準備金収益はコインベースが100%を受け取り、それ以外の場所で保有されるUSDCの残余準備金収益は両社が50%ずつ分配します。この構造はコインベースにとって主要な収益源となっている一方、サークルにとっては最大の流通コストとしての側面を持っています。
サークルの財務状況と今後の成長戦略
サークルが発表した2026年第2四半期決算によると、同四半期の流通・取引コストは前年同期比1%増の4億1,040万ドルを計上しました。USDCの流通量は前年同期比19%増の733億ドルまで拡大しており、総収益・準備金収益は前年同期比7%増の7億1,010万ドルとなりました。USDC(米ドルと等価の価値を目指すステーブルコイン)は、35のブロックチェーンネットワーク上で稼働し、185カ国のユーザーに利用されています。
こうした業績背景の中で、サークルのフォックスジーンCFOは四半期配当の導入計画がないことを明言しました。資本を株主配当に回さず、成長分野や戦略的取り組みへの再投資に充てることで、長期的な株主価値の向上を目指すとしています。
同社は今後もコインベースとの連携を軸としながら、その他の戦略的パートナーとの提携拡大を通じて、USDCネットワークの利用基盤を広げていく方針です。
ポイント
- サークルとコインベースがUSDCの協業契約を既存条件で更新し、提携期間が2029年頃まで延長された点
- コインベースが競合構想「オープンUSD(OUSD)」へ参画する中でも、既存のパートナーシップと収益分配構造が維持された点
- プラットフォーム上の準備金収益はコインベースが100%、それ以外は両社で50%ずつ分配する収益モデルが継続される点
- USDCの流通量が733億ドル(前年比19%増)に達し、サークルの総収益・準備金収益が7億1,010万ドルを記録した点
- サークルが四半期配当の導入を見送り、得られた資本をさらなる成長分野や戦略的投資へ再分配する経営方針を示した点