警察庁は8月25日に令和8年警察白書を公表し、2025年のサイバー犯罪検挙件数が前年比14.8%増の1万5,108件で過去最多となったことを明らかにしました。白書では、不正送金やマネー・ローンダリングの被害拡大とともに、暗号資産を悪用した巧妙な資金洗浄の実態が報告されています。当局はオンチェーン解析などを活用した捜査実績を示す一方で、事業者側に対しても出庫制限などの水際対策の強化を求めています。
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白書にみる暗号資産の悪用手口と捜査実績
白書によると、2025年におけるインターネットバンキングの不正送金被害額は約103億9,700万円と過去最高を更新し、マネー・ローンダリング事犯の検挙件数も前年比39.7%増の1,792件に達しました。
資金の不正流出や隠匿の背景として、暗号資産を悪用した手口が挙げられています。不正アクセスやフィッシングなどで得た資金を暗号資産アカウントへ送金する手口のほか、送信者や受信者の情報、取引履歴の追跡を困難にする匿名暗号資産「モネロ(XMR)」への換金、アドレス間の関連性を隠蔽するミキシング技術、さらには無登録で取引を仲介する「相対屋」を介した複雑な資金洗浄構造が確認されています。
また、北朝鮮グループ「TraderTraitor」が国内交換業者から約482億円相当を窃取した事案について、米連邦捜査局(FBI)などとの連携による成果が掲載されました。サイバー特別捜査部によるオンチェーン解析や国際共同捜査を通じて、被疑者の特定や暗号資産の追徴保全に至った実績も報告されています。
交換業者に対する出庫制限などの水際対策要請
犯罪の高度化を受け、警察庁は金融庁と連名で8月6日、自主規制団体である日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)に対し、すべての暗号資産交換業者における出庫制限の強化を要請しました。
要請内容には、購入後や入金後の一定期間における出庫制限、出庫先アドレスの事前登録制、疑わしい取引を検知した際の口座凍結など、実効的な被害防止策の徹底が盛り込まれています。事業者側における取引管理の厳格化を通じ、不正資金の流出を未然に防ぐ態勢の構築が求められています。
ポイント
- 2025年のサイバー犯罪検挙件数が前年比14.8%増の1万5,108件、ネットバンキング不正送金被害額が約103億9,700万円と過去最高を記録した点
- モネロ(XMR)への換金、ミキシング技術、無登録の相対屋を利用した複雑な資金洗浄の手口が白書で明示された点
- サイバー特別捜査部のオンチェーン解析や国際共同捜査により、被疑者特定や追徴保全の実績が示された点
- 警察庁と金融庁がJVCEAを通じて全交換業者に対し、出庫制限や出庫先アドレス事前登録制などの対策強化を要請した点