米SECのアトキンス委員長が暗号資産市場構造法案「CLARITY法案」の成立に期待を表明。国内への資金調達回帰に向けた新規則案と整合させる方針

米証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス委員長は、暗号資産の市場構造を定める「クラリティ法案(CLARITY Act)」が上院を通過し、大統領の署名を経て成立することに期待を示しました。クラリティ法案はSECと米商品先物取引委員会(CFTC)の管轄権限を明確にするもので、米上院では9月15日に審議入り動議に関する手続き上の採決が予定されています。アトキンス氏は、SECが提案している新規則案「レギュレーション・クリプト・アセッツ」について、同法案と整合しており、海外へ流出したイノベーターや資金調達を米国内に呼び戻す施策であると説明しています。

監修:ブロックチェーンマガジン編集部

株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイト編集方針をご覧ください。

議会での対立と9月15日に予定される上院の手続き採決

クラリティ法案は、デジタル資産が証券、商品(コモディティ)、ステーブルコインのいずれに該当するかを整理し、SECとCFTCの規制管轄を明確にする法案です。デジタル資産取引所、ブローカー、ディーラーなどに対する連邦レベルの規制枠組みを整える目的を持っています。下院は昨年同法案を可決しましたが、上院では取引所が顧客に利回りを分配できるかを巡って銀行業界のロビー団体と暗号資産業界が対立し、審議が停滞していました。

また、政府高官が暗号資産事業から利益を得ることを制限する倫理規定の追加を一部の議員が求めており、7月には新たな条文案が示されました。これに対して一部の民主党議員がなお不十分だと主張する一方、共和党側は政治的思惑による意図的な遅延であると批判しています。

上院で9月15日に予定されている採決は法案そのものの最終採決ではなく、審議入り動議に対する討論時間を制限するための討論終結(クローチャー)動議の採決とされています。アトキンス委員長は、この手続きを経て法案が上院を通過し、最終的に大統領の署名に至る道筋に期待を寄せています。

国内回帰を狙うSECの新規則案「レギュレーション・クリプト・アセッツ」

議会での審議が進められる一方、SECは独自に規制環境の整備を推進しています。SECは8月18日に「レギュレーション・クリプト・アセッツ」を提案し、現在パブリックコメントを募集しています。アトキンス委員長は、同提案について米国を世界の暗号資産の中心地にするというドナルド・トランプ大統領の方針を実現するための歴史的一歩であると述べています。

この新提案は、前政権下で国外へ追いやられた製品開発や資金調達を米国内へ呼び戻すことを目的としています。具体的には、1933年証券法第5条に基づく登録義務について、暗号資産に関する一定の投資契約の募集を対象とする2種類の適用除外(エグゼンプション)を新設する内容です。アトキンス氏は、米国の投資家がインターネットを通じて世界各地に資金を送れる実態を踏まえ、米国法のもとで国内でも同様の活動を行える環境整備が必要であると指摘しています。

アトキンス氏によると、この規則案はクラリティ法案の内容と整合しており、同法案が成立した際には内容に合致する規則を速やかに採択できるよう準備を進める方針です。なお、SECは先週、投資顧問業者や企業向けに暗号資産のカストディ(管理・保管)枠組みを明確化する提案を米政権に送付したほか、アトキンス委員長はクラリティ法案が上院で成立しなかった場合でもSEC自ら規則を策定する用意があるとCNBCの取材で述べています。

ポイント

  • クラリティ法案はSECとCFTCの管轄を整理し、デジタル資産の分類や連邦レベルの取引所規制を定めるもので、米国の規制環境を明確化する法案として位置づけられています。
  • 上院での採決は利回り分配を巡る銀行業界との対立や倫理規定の議論により遅れていましたが、9月15日に審議入りに向けた討論終結動議の採決が行われる予定です。
  • SECが提案した「レギュレーション・クリプト・アセッツ」は、証券登録義務の適用除外を設けることで、海外へ流出した資金調達や開発拠点を米国内へ回帰させる狙いがあります。
  • SECは法案成立を見据えて規則の整合性を図る準備を進める一方、法案が不成立となった場合でも独自にルール策定を行う方針を示しており、いずれの経路でも規制枠組みの構築が進められる体制となっています。
ブロックチェーン総研Blockchain Research Institute
数字とニュースでブロックチェーン産業を読む。新着レポートの公開をメールでお知らせします。
確認メールのリンクをクリックすると登録完了。配信はいつでも解除できます。プライバシーポリシー