金融庁は2026年9月4日、2025年7月から2026年6月までを評価対象期間とする「令和7年度実績評価書」を公表しました。暗号資産制度の見直しやステーブルコインの活用を含むデジタル金融施策について、全7指標が目標を達成したとして、評価結果を5段階中の「A」としています。法改正による暗号資産規制の金融商品取引法への移行や分離課税の導入、ステーブルコインの実用化支援など、事業環境の整備が進展したことが公式に示された点で重要と見られます。
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暗号資産の金商法移行と分離課税の導入
暗号資産制度に関する検討については、2025年12月に金融審議会が報告書を取りまとめました。金融庁はこの報告書を踏まえ、金融商品取引法と資金決済法の改正案を2026年4月に国会へ提出し、同年7月に成立させています。
成立した改正法により、暗号資産取引に関する規制は資金決済法から金融商品取引法へと移行します。これにより、暗号資産交換業者への規制や無登録業者への対応が強化されるほか、情報公表制度の整備や、インサイダー取引規制を含む不公正取引規制が導入されます。また、2026年度税制改正では、金融商品取引法などの改正を前提として、一定の暗号資産取引から生じる所得を分離課税の対象とする措置が講じられました。
ステーブルコインの法整備施行とメガバンク等の実証支援
ステーブルコインの活用に向けた取り組みでは、2025年に成立した改正資金決済法の政府令などが整備され、2026年6月に施行されました。この整備により、電子決済手段・暗号資産サービス仲介業の創設や、信託型ステーブルコインの裏付け資産に関する管理・運用の柔軟化などが盛り込まれています。
さらに金融庁は、民間事業者との対話に加え、「FinTech実証実験ハブ」内に決済高度化プロジェクト(PIP)を設置しました。この枠組みを通じて、3メガバンクによる円建てステーブルコインの共同発行や、クロスボーダー送金への活用などを支援しています。このほか実績評価書では、決済・取引インフラの高度化、フィンテック事業者への支援、国内外の事業者との連携、調査研究なども達成と評価されました。
今後の課題解決と測定指標の継続方針
金融庁は今回の施策について、利用者保護を確保しながらイノベーションを促進する環境整備に有効であったと分析しています。一方で、事業者との意見交換を通じて今後も課題の特定と解決を進める必要があるとしています。
評価に用いられた7つの測定指標については、次期も維持した上で、必要に応じて見直す方針が示されています。
ポイント
- 金融庁が公表した令和7年度実績評価書において、暗号資産制度の検討やステーブルコイン活用を含むデジタル金融の全7指標が目標達成とされ、5段階評価で「A」を獲得した点で注目されます。
- 暗号資産取引の規制が資金決済法から金融商品取引法へ移行し、不公正取引規制の導入や一定の取引に対する分離課税措置が講じられるなど、市場の信頼性向上に向けた枠組みが整備された点で重要です。
- 改正資金決済法の政令・府令が2026年6月に施行されたほか、3メガバンクによる円建てステーブルコイン共同発行やクロスボーダー送金の支援が進められている点で実務上の意義があります。
- 金融庁はイノベーション促進と利用者保護の両立を評価しつつ、事業者との対話による課題解決を続け、7つの測定指標を次期も維持する方針を示しています。