米金融大手のシティグループは、トークン化預金を活用した海外送金サービスを、日本企業向けに2026年内にも開始する方針です。実現すれば、外資系金融機関が日本企業向けに提供する同種のサービスとして初の事例となります。利用企業は送金指示画面で選択するだけで、夜間や休日を問わず海外拠点との間で外貨を即座に送金できるようになります。従来の銀行営業時間による着金遅延を解消し、企業の資金管理を効率化させる取り組みとして注目されます。
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日本企業向け海外送金の即時化と資金管理の効率化
日本経済新聞の報道によると、シティのサービス部門グローバル責任者であるシャミール・カリク氏が今回のサービス展開を明らかにしました。対象となるのは、シティが米国、英国、シンガポール、香港、アイルランドに構える拠点との間の送金です。
トークン化預金とは、銀行預金をブロックチェーン上で移転できるデジタル形式にしたものです。従来の国際送金では、各国の銀行営業時間や休日の影響によって着金までに時間を要する課題がありました。本サービスにより時間の制約が軽減されることで、企業は海外での支払いに備えて現地口座へ事前に資金を滞留させておく必要性が低くなります。
利用にあたって企業側の事前準備はほぼ不要とされており、送金指示画面でトークンサービスを選択するだけで利用可能です。送金に関連する事務手続きやリスク管理はシティ側が担当する仕組みとなっています。
許可型チェーンの活用実績と他行間ネットワークの拡大
シティは海外において、参加者を限定した許可型ブロックチェーンを利用する資金管理サービス「シティ・トークン・サービス」を2024年から提供しています。同行ネットワーク内での24時間資金移動を実現しており、2025年9月29日には24時間365日対応の米ドル決済基盤と統合し、他行口座宛てへの送金にも対応する計画を発表していました。
さらに同行は、自社内にとどまらず他行との連携も進めています。2026年9月5日には、シンガポールのDBS銀行とシティのニューヨーク拠点間において、国際銀行間通信協会(Swift)のブロックチェーン基盤「スウィフト・デジタル・レジャー」を活用した週末の米ドル建て国際決済を数分で完了させました。この試行取引は、2026年7月から12月にかけて実施される概念実証の一環です。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、シティやJPモルガン・チェースなどの米大手銀行は、米決済インフラ企業のクリアリング・ハウスが運営するトークン化預金共同ネットワークの構築を計画しており、2027年前半の立ち上げを目指しています。なお、日本企業によるブロックチェーン送金サービスの導入としては、三菱商事がJPモルガンのサービスを採用した事例が公表されています。
ポイント
- シティグループが日本企業向けにトークン化預金を用いた海外送金を2026年内にも提供する方針であり、外資系金融機関による日本企業向けサービスとして初の事例となる見込みです。
- 米国、英国、シンガポール、香港、アイルランドの拠点間において夜間や休日でも外貨の即時送金が可能となり、企業の事前の資金留保負担を軽減できる点で注目されます。
- 企業側は指示画面での選択のみで利用でき、事務やリスク管理をシティ側が担うため、利用企業の業務負荷が抑えられています。
- 許可型ブロックチェーンを用いた自社内決済にとどまらず、Swift基盤でのDBS銀行との実証や、米大手銀行による共同ネットワーク構想など、他行間をつなぐ基盤構築が進められている点で重要です。